政策提言・時事問題リポート

2018/05/18

児童・生徒のための一次救命措置プログラムについて

日本赤十字社栃木県支部の方と標記の件についてお話する機会を得ました。
 日本赤十字社栃木県支部では、社会貢献活動の一環として、・傷病者の観察の仕方・心肺蘇生・AEDを用いた除細動について、児童・生徒が学ぶための独自プログラムを開発し、授業時間に合わせて指導員を派遣する事業を実施しています(指導員派遣経費は、青少年赤十字加盟校【加盟登録は無料】であれば無料)。もっと多くの県内の学校において講習を実施していきたいという考えをお持ちであるとのことでした。
 そこで、現在の県内公立学校の状況を調べてみました。


① <公立学校における講習の実施状況>

<生徒に対する講習>        <教員に対する講習>
小学校:8.7%             小学校:92.1%
中学校:69.4%           中学校:63.1%
高校 :71.0%           高校 :76.8% 
特別支援学校:20%         特別支援学校:100%

◆ 心肺蘇生やAED講習については、各学校単位で判断している。学校が毎年度、避難訓練や防災訓練を計画する上では地域消防署との関わりが深く、心肺蘇生等の講習についてもまとめて調整し、地域消防署に依頼していることが多い。 加えて、消防による講習会については無償で実施していただいていることが、消防による講習の実施がほとんどを占めている要因となっている。
◆ 消防職員から教員が講習を受け、教員が生徒に講習を行う、という流れが一般的ではあるが、消防職員が直接生徒に指導する場合もある。
◆ 子どもたちが蘇生術や機材取り扱い方法を学ぶことも大事であるが、緊急の場合にどこに、どのように連絡するか、ということが重要であると考えている。


② <今後の対応について>
 国が定める学習指導要領の中で、「保健体育の教科の中で実施すること」と規定されている。今後、この学習指導要領の改訂の中で、中学校においては平成33年から、高校においては平成34年から、100%を目標に「実習を行う」ことが定められる見込みとなっている。
 という状況であることが分かりました。

 学習指導要領の改訂を見据えれば、講習に対する学校現場からの要請がこれまでより大きく増えることも想定されるため、赤十字社さんの取り組みは大変ありがたいと思います。 
 栃木県は救命率が低いと言われています。この状況を改善していくためにも、できれば、小学校高学年~中学校の頃に学ぶ機会を提供し、救命という行為に触れていくことも重要であると考えます。


 各学校単位での判断となる、とのことですが、県教育委員会から各県立学校、そして市町教育委員会を通じ各学校へ、赤十字社さんの講習プログラムについて情報提供していけるよう、県教育委員会に働きかけていきたいと思っています。