政策提言・時事問題リポート

2017/03/01

足利市富田地区に計画されている新駅について

足利市の東部に位置する富田地区に、JRの新駅が設置されるという計画があります。足利フラワーパークに隣接する形で、計画が進んでいくようです。
 この駅については、地元要望によるいわゆる「誓願(せいがん)駅」ではなく、民間企業であるJRが設置を望んでいる、いわゆる「戦略的新駅」という位置づけにあると理解しています。JR大宮支社長、JR高崎支社長がお揃いで栃木県知事のところに設置の要望にお越しになるのは、極めて異例なことであり、このことからもJRの意気込みが伺えるのではないでしょうか。


 新駅の建設については賛否あると聞いていますが、私は前向きに進めるべきであると考えています。
 ここでその理由を申し上げます。
 先ず、現在ある富田駅を廃止して新駅を建設するのではなく、富田駅は残したままで新しく駅が一つ増えるということです。全国的には地方において廃線となる路線や駅がある中で、新駅が設置されるということはとても前向きな事業です。
 高速道路のインターチェンジや駅など、交通網の結接点や要所ができることは、周辺地域の活性化につながる可能性が拡がります。
 もし、お隣の佐野市や桐生市に新駅やインターチェンジができると聞いたら、羨ましく思うのではないでしょうか。


 次に、渋滞緩和につなげていくことです。混雑時においては、周辺住民の方々の日常生活にも支障をきたしています。公共交通の利用を増やす方向での取り組みは必要であると思います。
 当然ながら、同時に道路整備も進めていかなくてはなりません。これは早期に検討に着手すべきであると思います。線路の北側の道路は県道ですから、必要な支援を得られるよう、県に対し働きかけていきたいと思っています。


 そしてもう一つ、足利フラワーパークさんが持つ発信力・誘客力を、栃木県や足利市としても多いに活用させていただき、これらを更に伸ばしていく支援をしていくことです。足利フラワーパークへの観光客の利便性を高めて、更に多くの観光誘客につなげることは、観光客による消費額 ( ※ 2月 4日 「5県議長会」の原稿をご覧ください。 ) に着目しての経済効果からも、極めて重要で必要なことだと思います。


 これからの時代は、例えば「足利学校」も「ばんな寺」も「織姫神社」も、「名草の自然」も、「足利フラワーパーク」も、これら全てを足利市の「地域資源」・「観光素材」と捉え、公共施設か民間施設かという線引きをしすぎず、その振興発展に努め、共存共栄のために支援していくという考え方がふさわしいのではないでしょうか。


 ですから、足利市は、この新駅をどうやって地域振興につなげていくか、グランドデザインをきちんと描き、それを市議会や市民に示す必要があります。
 新駅により、富田地区や東部地区、広く足利市において、このような地域振興が期待される、そして市としてそれを実現していく、という視点での構想をしっかりと描き、市民の代表である市議会の了承を得る努力を、そして地元地域の皆さんの理解を得る努力を、足利市が行わなくてはいけません。これが不足しているから「なんとなく反対」のような意見が出てきてしまっているのだと思います。


 2月 4日付でお知らせした「5県議長会」のところでも記載しましたが、観光誘客による経済波及効果の試算をフラワーパークに置き換えますと、


◇ 昨年度の来場者150万人のうち
 ・ 外国人旅行者 ⇒ 12万人 = 211億円 = 定住人口 15000人分
 ・ 国内旅行者 ( 日帰り旅行者と仮定し ) ⇒ 138万人 = 217億円 = 定住人口 17250人分
となります。
 もちろん、この数字は統計上のものであり、飛行機や電車、バスなど移動にかかる費用や宿泊費など全てが含まれているので、この金額が地元地域で全て消費されるわけではありません。
 しかし、足利市に、栃木県に、日本に大きな経済効果を産み出していることは間違いありません。
 来月から、JRグループによる観光キャンペーン「デスティネーションキャンペーン」の 1年前イベント等がスタートします。
 これらを好機と捉え、足利市が栃木県の玄関口としての機能をさらに発揮し、誘客の増加につなげ、それが市・県の発展へとつながるように、しっかりと取り組んでまいります。