政策提言・時事問題リポート

2013/11/01

土地の有効利用について

全国を見ると、東京をはじめ一部の大都市に人口が集中する傾向が一層強まり、栃木県においても宇都宮への一極集中が目立ちます。このことは、都市部と過疎地域という2極化になりかねません。

  公共交通機関の少ない本市では特に、自家用車での移動が一般的です。ライフスタイルが変化する中で、例えば、若年層ファミリーは便利な中心部に50坪の土地を買うなら郊外に100坪のほうがいい、という考えを持つ人も多いといいます。農業地域においても、ある程度の道路や上下水道といったインフラ整備は済んでいます。   人口減少時代に突入し、人口増加時代にあったような市街化圧力は大きくないはずです。今こそ、土地の有効利用や規制緩和について議論を深め、進めていく時なのではないかと考えます。

  しかし、現場では、例えば市街化区域つまり市街化を促進したいと定めている地域にも関わらず、進入する道路の幅が足りない等の理由で家が建たないという事例があります。そもそもの方針と矛盾しているとも言えます。

  例えば、調整区域においても、子どもがUターンしてきて親の敷地内に新居を建てたいが、親が何十年も前に建てた物置小屋が無許可だったからこれを壊して撤去しなくては建築を認められない等、事細かに色々な条件を付けられ、なかなかスムースに進まず、結果として新居を諦めたという例もあります。

  家は一生に一度の買い物です。そして数多くの業種が関係し、経済波及効果も大きいものがあります。家を建てたい、家を持ちたいと思う人が、その希望をできる限りスムースに実現できるような柔軟な判断を行い、条件整備、環境整備を進めていくべきではないでしょうか。

  家だけではありません。例えば、足利フラワーパーク入口の県道沿いの農地は、優良農地であり国の予算を受けて整備した経緯があります。そのため、仮に沿道にコンビニエンスストアを建てたいと言っても、地権者が同意し建設を望んだとしても、許可されません。

  今から何年も前に足利市に対し、ここは永久的に農地のままか?と尋ねたら、そうだ、という答えがありました。沿道を開発することで、農業的土地利用が阻害されるのか、農業生産がどの程度阻害されてしまうか、ということは検証されるのでしょうか。

  時代は流れており、ライフスタイルもニーズも人口動態も変化しています。

  守り残すべき優良農地か、あるいは開発に適する土地か、という判断は、地方の裁量で行われるべきではないかと思っています。中央省庁が判断することなのか、疑問に感じます。こういうことこそ、地方に権限移譲するべきではないかと思います。

  県議会でも、過去に同趣旨の意見書を国に提出したことはありますが、何かの回答があるわけではありません。

  全国的には、地方自治体において、線引き制度に代わる新たな土地利用コントロール方策の導入をさぐる動きがあります。

  人口減少に歯止めをかけること、企業誘致を進めること等の地方自治体にとって最重要ともいえる目的達成にかかわってくることです。   引き続き調査研究を重ね、活発に活動していきたいと思います。