2013/08/21
農林委員会で質問をおこないました
8月21日に行った、農林環境常任委員会における質疑について報告いたします。
1)ブランド化への取り組み姿勢等について
地域のイメージを活用しつつ地域の農林産物・食品の差別化を図り、その価値・評価を高めようとする地域ブランド創出の取り組みが全国的に活発に行われている。
先日、宮崎県、鹿児島県におけるブランド化への取り組みを調査し、両県ともに大消費地から遠いという地理的なハンデを克服するために懸命に努力している姿が伺えた。
一方、栃木県に目を向けると、東京にも近い、様々な品目の且つ良質な農産物が収穫できる土壌がある、等の恵まれた環境にあり、際立ったアクションを起こさなくても、それなりに全国的にも高いポジションを維持してきた、という背景があるように感じている。
しかし、将来を考えると、ブランド化への取り組みを強化しながら、強い農業の確立に更に一歩踏み出していかなければならないことは間違いない。
そこで、このブランド化に取り組むにあたり、(県庁内外を含めての)基本的な考え方、目標、そして目標達成のための推進体制などはどうなっているのか?
(再質問)
宮崎県では、地域のイメージアップ・知名度アップを図ること、そして、品目を絞って積極的・集中的に取り組むこと、を段階的に行ってきたとのことであった。とても重要なことであると思う。
そして、そこには徹底したマーケティングの考え方がある。例えば、協議会において県内の声と県外事務所からの消費地の声が異なるものであったときは、間違いなく消費地の声を優先する、と明言していた。
私は、これまで各分野において、例えば、産業団地の造成についても、障害者の工賃倍増についても、このマーケティングの重要性を主張してきた。
この点については、生産のプロである農業者には得意な分野とは言えないと思うが、県としてどのように関わっていくのか?
(提言)
地域のイメージアップ、知名度アップということは、大きな目標であると思う。
そこには、消費者との信頼関係が構築される。例えば、「○○県のものであれば間違いない」「安心だし美味しい」といったように、有名な特産品でなくても、その地域に対する高い評価、高い信頼度が築かれている。
これに近いのは北海道だと思う。北海道のものなら美味しい、安心、という漠然としたイメージがある。
「とちおとめ」の販路を有効に活用しつつ、そして地理的優位性を活かしながら、ここまで栃木県を持っていければ素晴らしいと思う。
このような視点からの積極的な取り組みを期待する。
2)農業を支える担い手の確保と農業収益の増加について
ブランド化を進める過程で担い手が増えていくのか、ブランド化に成功した結果として担い手が増えるのか、分からないが、いずれにしても、担い手の確保は重要な課題であり、県でも以前から鋭意取り組んでいる。
この担い手確保のためには、やはり収益力がその大きな要素の一つであろう。
地元の足利市においては、有力商品であるイチゴ生産者数は減少している一方で、トマトについては生産者数は横ばい、面積は拡大しているという。これは、高性能ハウスの普及に伴い、従来2月からの出荷が11月からできるようになり、その分、収益が増加することが要因という。
この手法として、「農業の6次産業化」だけでなく、似た概念として「農商工連携」や新たな「農業の1.5次産業化」といったことが盛り上がりを見せてきている。
このような取り組みを含め、収益性を高めていくために、県として具体的にどのように取り組むのか、県の考えを伺う。
(再質問)
残念ながら、現実としては、少し古い2010年の数字であるが、6次産業化に取り組む経営体のほぼ9割は「消費者に直接販売」である。方法としては、ネット利用もあるが、最も多いのは産地直売所とのことである。そして「農産物の加工」は1割にも満たないという。
これでは、知恵と工夫の成果と喜べないのではないか。目指すところとは違うのだと思う。直売所を増やそうということではないはず。しかも、原発事故の風評が未だ拭いきれない中で、安定して収益が確保できるのかといった懸念もある。
もっとシステマチックな仕組みを作る必要はないのか?
(再質問)
6次と呼ぶか、1.5次と呼ぶかはいずれにしても、これらを考える上で食品食料関連産業との関連は深いものがある。
例えば、流通に乗らないような形の悪い野菜類を加工することで、収益の一つとして確立していく取り組みはどうか。
メーカー側から、「トマトをピューレでほしい」「玉ねぎをみじん切りにしたものがほしい」といったニーズがあるとする。これに応えられる事業者を作り上げていくことも必要であろうし、また、現在県内で既存の事業者があるかどうかの情報を集約しておくことも必要であろうと思う。
そして、メーカーのニーズを把握し事業者に情報提供する、その逆に事業者の特徴や技術をメーカー側に売り込む、という双方向の取り組みに県が積極的に関わっていく。そしてもちろん、農業者とつなぐ。
このような既存企業のリストアップ、そして需要と供給のマッチングについてはどのように考えるか?
(提言)
今、提案したことは、すぐにでも取り組めることだと思う。早急に進めてほしい。そして、農業者と食品加工メーカー、大手メーカーとのマッチングについてより積極的に取り組むべきである。
3)植物工場について
エコエネルギーの普及もあり、農業への新規参入の動きもある。トヨタ自動車のパプリカや、野村證券などがその例である。
栃木県として、日照時間の長さや、豊富な水、首都圏からのアクセスの良さ等、栃木県の長所をPRしつつ、いわゆる植物工場の誘致に取り組んではいかがか。
思い切って、植物工場に特化した産業団地を造成する、など、生産地としての栃木県のポテンシャルを広く全国に向けて発信していってはどうかと思う。
県の見解を伺いたい。
(再質問)
市町村レベルでは、鳥取県のように積極的に関与し、雇用の創出にも結びつけるというところも多数ある。モデル事業を作ってみてはどうか。
また、農業生産に寄与するわけであるから、農地利用について、農水省も県も特別な見方、判断というものはできないのか。
(提言)
このような取り組みを積極的かつ継続的に行っていくことで、冒頭申し上げたような栃木県のイメージアップ、知名度アップ、栃木県産に対する信頼度アップにつなげられるのではないかと思う。