2012/09/20
人口減少に歯止めをかけるために
総務省が8月に発表した住民基本台帳に基づく今年3月末現在のわが国の人口は、前年同期より26万3千人少なく、3年連続で減少しています。
出生者数は4年連続で減少し最低となる一方、死亡者数は最も多くなっています。死亡者数が出生者数を上回る「自然減」は初めて20万人を突破し、人口減少社会は確実に加速しています。
本県の人口も前年同期に比し7千人ほど減少し、現在約198万8千人あまりとなっています。
また、東京、名古屋、関西の3大都市圏を合わせた人口は、50.75%と過去最高を更新し、全国人口の半数を上回っている。大都市に人口が集中する傾向は一層強まっていることがうかがえます。
この人口減少は、もちろん栃木県だけが抱える問題でなく、明らかに日本が抱える、国家的な問題です。しかし、国においては、2年前に公表された「新成長戦略」において、人口の急激な減少傾向に歯止めをかけたい、としているにすぎません。国家としては、戦略性が乏しいと指摘されてもやむを得ないのではないかと思います。
私は、この人口減少という問題を非常に不安な要素と感じています。今後も人口が減少すれば、労働環境、教育現場、食糧事情だけでなく社会保障、医療介護など、私たちの生活や取り巻く環境が大きく変化していくのではないかと思うからです。ゆえに、人口の推移を見極めることなしでは、今後の栃木県の将来像を語ることができないのではないかと思わざるを得ません。
本県経済は、回復の兆しは見えるものの、未だ厳しい状況が続いています。足利市でも、中小製造業者が、取引先の大手企業が、新たな生産拠点を海外に設けるのに伴い海外に工場を新設するなど、県内経済の空洞化が始まっているのではないかと危惧しています。
死亡者数が出生者数を上回る「自然減」は覚悟しなければなりませんが、転出
者が転入者を上回る「社会減」については、これを「社会増」に持っていき人口減少をカバーできるくらいにしたいという目標を持つべきです。
その策として、当然ながら、企業の立地を促進し、定住人口を確保、増加させていくことは有効な手段の一つであることは間違いありません。
今年度創設された「原子力災害周辺地域産業復興企業立地補助金」では、1/4すなわち25%以内という補助率の高さから、本県では29件の申請があり、うち12件が採択されました。これは、本県に立地したいという企業が潜在的にあることが、さらには、その具体的企業が明らかになったわけです。
従来の県の企業誘致に係る支援制度をアピールするだけでは弱すぎます。新たなしっかりとした戦略を持って、本県を空洞化させないように、これら採択された12件、採択にならなかった17件の全ての立地実現に努力しなければなりません。引き続き常任委員会の場等を通じて、強く提言していきます。