2012/03/15
取調べ可視化
「取調べの可視化(取調べの全過程の録画)の速やかな実現を推進する決議・意見書採択の陳情書」を審査しました。
11月21日に受理した「取調べの可視化(取調べの全過程の録画)の速やかな実現を推進する決議・意見書採択の陳情書」について、私が委員長を務めている文教警察常任委員会で審査を行いました。
審査にあたっては、国家公安委員長が主催する「捜査手法・取調べの高度化を図るための研究会」の最終報告を審議の参考にしました。
この研究会には日弁連「取調べ可視化実現本部副本部長」をはじめとする弁護士の先生方も委員として参加し、2年にわたり検討してきましたが、「全過程の録音・録画」については、「この問題が極めて困難かつ複雑な問題を含んでいることから意見が分かれ一致を見なかった」と最終報告には記されています。
常任委員会の委員からは、陳情内容にある「全過程の可視化」について、「被疑者からの供述を得られにくくならないか」「治安水準の維持・向上に悪影響はないか」「性犯罪の場合でプライバシーの部分に抵触しないか」など、その導入に不安や疑問を投げかける意見が出されました。
一方、継続審査を主張する議員からは、何を継続して審査をするべきかという点について、民主党県議から「可視化以外の取調べ手法の高度化と一体で研究していくべき」という意見が、みんなの党県議からは「民主議員の意見と同じ」という意見があり、これ以外には明確な意見は出されませんでした。採択を主張されることもありませんでした。
また、「この案件はそもそも国レベルでの審議・検討によって国の刑事司法制度全体として検討されるべき事柄であり、更に三権分立の観点からも、地方の立法を司る県議会または行政を司る県として国に申し入れる事柄にはなじまず、我々が審査をすることは適当でない」との意見が自民党県議からありました。
これらのことから判断すれば、「不採択」が適当とも思われましたが、11月に陳情を申し入れた時点と国の最終報告がまとまった現時点では、背景が変化したということで、陳情者にも陳情内容について再度検討することがあろうことから、再検討に要する時間的猶予が必要であると思われますので、不採択とはせず、継続の扱いにし、全委員の賛成を得ました。
そして、この内容について、弁護士会の方に私のほうからお伝えいたしました。
判断の難しい問題でありました。新年度は委員会メンバーも変更になりますので、しっかりと申し送りしたいと思います。