政策提言・時事問題リポート

2012/03/07

予算委員会

その中で取り上げた「教育委員会予算のあり方」について報告いたします。

 教育委員会は組織の上では独立しており、教育委員会事務局の最高責任者は教育長です。しかし、法律上、教育委員会は予算編成権を持たないため、教育長の責任で単独で予算を編成することはできません。栃木県庁=知事執行部が予算を持っているためです。

 当然ながら、予算には限りがありますし、教育委員会だけが特別扱いではありませんので、やりたいことをあれもこれもできるわけではありません。歳入と歳出のバランスを考慮しながら、事業の取捨選択をおこなっていくことになります。

 ただ、どの事業を採択し、どの事業を断念するか、の判断を、教育長の責任のもとに教育委員会で行えないというのであれば、それは大変不都合であると私は感じています。

 予算委員会の質問で、一例として障害者雇用の拡大について取り上げました。
『教育委員会の障害者雇用率が全国最低との結果が報道されましたのを受け、新年度、緊急雇用という形ではありますが、事業化が行われる予定です。実は昨年度も、教育委員会は障害者雇用を進めたいということで予算要望していました。しかし財政当局に認められませんでした。そして全国ワーストとなったので予算付けをした、ということになるのではないでしょうか。』と私は指摘をしました。

 農政部も県土整備部も、どこの部局も現場での課題を解決していくために実行したい事業があります。しかし、それら全てを実行する財政的余裕はありません。事業の峻別をすることになります。

 財政課は、歳入と歳出のバランスを考慮しながら、県財政を中長期的な展望で持続させていく、という極めて重要な役割を担っていると私は理解しています。夜を徹して、土曜や日曜も出勤して、仕事に取り組んでいただいていることには頭が下がります。

 また、現在の財政健全化プログラム集中改革期間のように、どちらかといえば財政規律重視に傾かなくてはいけない時期もあるでしょう。

 ただし、そのバランスが崩れると、つまり数字上の判断が重視されすぎると、先に述べた教育委員会の障害者雇用のような事態になってしまうのではないでしょうか。私は好ましくないと思っています。

 このように委員会質疑で意見を申し上げたところ、ある財政職員の方から、「あなたの考えは間違っている」との指摘を受けました。どの点が間違っているのかまでお話を伺えませんでしたので、改めてお聞きしてみたいと思っています。

 もう一つ、例を挙げます。
 幼稚園は法律上教育機関であり、国では文部科学省が所管していますが、県では、幼児教育の中身については、教育委員会が所管する幼児教育センターにおいて行われています。このセンターでは幼稚園連合会等から推薦された職員と一緒になって仕事にあたっていますが、ここではほとんど予算を持っていません。

 一方で予算については、公立学校は教育委員会、私立学校は経営管理部、という区別がされています。栃木県の場合は、県内幼稚園児の約97%を私立幼稚園が担っていることから、幼稚園にかかる主な予算は経営管理部において幼稚園関係補助金として計上されています。

 ですから、例えば、「子育てランド事業」(=園庭開放や子どもの遊び場確保、未就園児親子教室など、地域の子育ての拠点となっている幼稚園事業を支援している)について、我々が尋ねたり要望したりする相手方は、経営管理部となります。教育委員会の幼児教育センターではありません。

 政策があり予算があるのですから、幼稚園の現場の実情、実態をより理解しているところが、ここで言えば教育委員会が、予算を持つほうがいいのではないか、と投げかけてみました。数字の上での判断に傾かないほうがいいと思うからです。教育委員会の中に、幼児教育を所管する課室を設置することを検討する必要もあるのかもしれません。

 活力ある社会を実現するための原動力は人であり、人づくりにおいて教育が果たす役割はとても大きいと思っています。

 教育現場が直面する課題を解決していくために必要な事業を実行していくために、求められる予算、相応しい組織についてこれからも考えていきたいと思います。