2012/01/25
政策・予算要望を知事に申し入れしました
新年度当初予算に関する政策・予算要望書を作成し、知事に申し入れをしてきました。政務調査会のメンバーで1ヶ月以上かけて作成したものです。
全部を掲載すると膨大な量になるので、私が担当した教育委員会、警察本部の部分だけを掲載します。
<教育環境の充実について>
1)少人数学級の推進について
学校現場においては、対応の難しい児童生徒の増加もあり、学級運営の実態として対応に困難な場面が発生したとき、一人の教員がその児童の対応にまわると、その他の児童には目を向けることができなくなる事態となる。
そのため、従来以上に児童生徒に目が行き届く環境を作っていくことが求められていることから、少人数学級推進のニーズはより高まっていると思われる。
複数教員を配置する少人数指導については、大きな効果を上げており、学校現場、保護者からも高く評価され、その拡充を求める声が多く聞こえる。
本県が推進してきた独自の少人数学級をさらに進め、現場の実態に即して複数の教員を配置することができるよう、非常勤講師の十分な確保と配置に努めること。
また、特別支援学級においても、児童生徒8名に対し教員1名という基準が定められているが、現実問題として、児童生徒の障害の種類、程度によっては、十分な対応ができないことから、複数教員の配置を進めていくこと。
2)学力の向上について
子どもたちの学力を向上させていくことは、県民が総じて求める重要課題であり、他県との比較の中で教育力を評価される指標の一つとなっている。
本県では、「とちぎの子どもの基礎・基本」を策定し、独自の総合的な施策を展開してきたところであるが、効果的な学力向上策のあり方を研究しながら、より高いところを目指し、取り組みを強化していかなければならない。
国の「全国学力・学習状況調査」が抽出方式で実施されている現状からも、本県独自の学力テストを悉皆方式で実施することを要望する。
3)公立高校の活性化について
家庭の経済状況に左右されず、生徒たちが目標を持って学ぶことができる環境を整えていくうえで、公立学校は重要な役割を果たしている。
高等学校は、生徒たちが進学し何を学びたいか、あるいは社会人としてどのような仕事をしたいかということを決める、人生においても重要な時期である。
学校が社会環境の変化に対応しながら生徒の「生きる力」をはぐくむ、特色ある高校づくりを目指し、各学校が描く「学校の将来構想」を具現化するための「高校教育活性化プラン事業」がスタートしてから3年が経過し、今年度が最後の年となる。
栃木県から有意な人材を輩出していくためにも、本事業を継続して実施していくこと。
4)いじめ・不登校と暴力行為への対処について
いじめ・不登校については、各教育事務所に「いじめ・不登校対策チーム」設置し、その根絶に向け取り組んでいることは評価するが、いじめ件数、不登校児童生徒数ともに依然として全国平均を上回っている状況にある。引き続き積極的に取り組んでいくこと。
また、県内の小中学校、及び高等学校における平成22年度の暴力行為発生件数が過去10年で最多となった。
暴力行為に対しては、上記「いじめ・不登校対策チーム」で対応していくとのことであるが、なかなか減少しない「いじめ・不登校」事案への対応に加えて、暴力行為にも取り組むことは、人的問題としてかなり厳しいのではないかと考える。
直接対処に当たる学校現場とそれを支援する教育事務所の双方に、スクールカウンセラーをはじめとする各種相談員、協力員の増員を図り、十分な体制のもと、学校における暴力行為事案の撲滅に全力で努めること。
5)教員採用について
新とちぎ元気プランでは、とちぎづくりの原動力となる「人づくり」を政策の基本に据えている。
次代を担う活力ある人材を輩出していくためには、家庭教育と同じく学校教育の充実が不可欠であり、そのためには優秀な教員を確保・育成していく必要がある。そして、教員採用はその第一歩であることから、とちぎの教育目標を実現していくために必要な教員像を描き、それに合致する教員の確保にあたり障壁となるものが現行制度にあるのであれば、取り除いていかなければならない。
これまでも、面接員の改善や、社会人や現職教員を対象にした特別選考枠の設置など採用制度の改革に取り組んできたが、これらをさらに進めながら、現場における経験や能力を備えた臨時的任用教員を対象にした特別選考制度についても導入を行うこと。
6)家庭の教育力の向上について
いわゆるモンスターペアレンツという言葉が定着するように、常識を外れた不当な要求や主張を学校や地域社会にぶつけてくる親が後を絶たないことから、家庭における教育力の向上が求められている。
県では親学習プログラムを作成し取り組んできているが、特に問題のある親へのアプローチが困難となっているのが実態である。
残念なことではあるが、中長期的な観点から効果を上げていくために、中高生の段階で、家庭の役割やあるべき姿を学ぶ機会を創出していくことを検討すること。
7)障害者雇用の推進について
県教育委員会における障害者の雇用率が全国最下位と報道された。
障害者雇用については、これまでも他県と比較しても遜色ない取り組みをしてきたが、結果としてこのようになってしまったことは遺憾であり、早急な改善が求められる。
検証を重ね、県全体の問題として鋭意取り組むこと。
8)県立学校施設の耐震化について
県立学校の耐震化は、校舎については平成24年度までに、体育館等については平成27年度までに終了させることとしているが、大規模地震の発生は予測が困難であることから、生徒の安全を確保するために可能な限り前倒しで実施していくこと。
また、県内5ヵ所の特別支援学校(養護学校)に併設されている生徒用の寄宿舎については、最優先で耐震化に着手すること。
9)幼児教育への支援について
近年、幼児教育の重要性が再認識され、その充実に対する社会的ニーズは高まっている。
県内の児童のうち、幼稚園児が62.8%、保育園児が34.9%であり、この幼稚園児のうち私立の割合は全国1位となっている。
少子社会において、保護者の70%が3人以上の子育てに意欲を持っているとのデータもあり、少子化対策、子育て支援の観点からも、幼児教育に対するより一層の支援が必要であると考える。
そこで、以下の項目について要望する。
①第3子以降の単独在園に対する保育料減免について
知事はマニフェストにおいて、幼稚園の第3子以降単独在園児の保育料軽減について掲げているが、今日まで具体的に取り組まれていない数少ない項目として残っている。平成22年度における県内の第3子単独在園者1,726人を基に、同時在園と同様の補助を行うとした場合、61,687千円の予算が必要になると試算される。
未来開拓プログラムの集中期間ではあるが、少なくとも、市町との協議は早急に開始すること。
②除染への取り組みについて
原発事故からもうすぐ1年になるが、依然として各地で高い放射性物質が検出されている。このような現状を直視し、除染に早急に取り組むことは多くの県民の希望である。
そもそも低線量の被爆については未知の部分が多く、中でも幼稚園・保育園の園庭や公園における砂場や芝生など、特に幼児が日常触れる場所の除染については、早急に実施すべきであると考える。
地域による格差や園の財政状況に関わらず、全ての幼児にとって安心できる環境を整えていくために、これら除染に関する補助制度を創設すること。
③子育て支援活動への補助制度について
未就園児親子教室や園地園舎開放事業など、私立幼稚園が実施している各種子育て支援事業は、保護者からのニーズも高く、より一層の充実が求められている。
子ども同士だけでなく、母親にとってのネットワークづくりにも役立っており、子育てにおける悩み相談や、場合によっては児童虐待対策としても効果を発揮している。
幼稚園が実施する各種事業に対して一層の支援を行うこと。
④幼稚園教諭増員への支援について
小学校や中学校だけでなく、幼稚園においても、特別な支援を要する児童の数が増加している。幼少期から適切な対応をしていくことが求められる。
これらの児童に十分に目を行き届かせ、的確に対応していくためには、担当する教諭の増員が必要となる。
幼稚園が、特別な支援を要する児童を受け入れ、適切な教育を行えるように、担当する幼稚園教諭の増員に対する支援を行うこと。
<警察力の強化について>
1)治安維持及び災害拠点としての警察署のあり方について
災害時において警察活動の拠点である警察庁舎は、地域の治安及び各種の救援活動の拠点であり、犯罪捜査及び災害に対処する機能を確保する必要がある。
たとえ非常時であっても、最低限必要となる110番システム等を運用させるための非常用発同発電設備が正常に稼働し、それらのシステムに安定してエネルギーを供給できるようにしておかなければいけない。
今般の大震災時には、一部警察署において非常用発動機の容量不足により停電となり、警察活動に支障が出たと聞いている。
今後の電力の安定供給については、引き続き不安が残る状況にあり、しかも、近い将来に首都直下型地震等の大規模地震の予想もある中、警察庁舎における電力確保のための整備を早急に進めていくこと。
2)交通死亡事故抑止対策について
本県の人口10万人当たりの交通事故死亡者数は、警察当局の努力もあり減少傾向にあるが、全国比としては依然として下位に低迷している。
交通死亡事故を抑止するために、以下の対策を推進していくことを要望する。
①交通事故抑止効果の高い高輝度道路標識・標示や信号機をはじめとする交通安全施設の計画的な整備を鋭意進めていくこと。
②「高齢者に優しい3S運動」をはじめとする交通マナー確立に向けた施策を進めていくこと。
③飲酒運転等の悪質性・危険性の高い交通違反に対する取り締まりの強化を行うこと。
④今後見直しが進められる自転車通行帯について、歩行者、自動車双方との交通事故減少につながるように慎重に検証を行うとともに、自転車のマナー向上にも取り組むこと。
3)犯罪抑止・検挙対策について
刑法犯認知件数については当局の尽力により減少傾向にあるが、経済不安や雇用情勢の悪化を背景に、強盗や性犯罪等の重要・凶悪犯罪が後を絶たず、治安情勢は予断を許さない。
そこで、以下の対策を推進していくことを要望する。
①自動車利用犯罪に威力を発揮する重要犯罪捜査支援システムの県内全域への早期の増強配備を行うこと。
②振り込め詐欺等、県民に身近な犯罪の抑止・検挙対策を進めること。
③子どもや女性に対する性犯罪の抑止・検挙対策を進めること。