2011/10/20
TPPについて
本日、宇都宮市のマロニエプラザで開催されたTPP参加に反対する集会に出席してきました。
このTPPについては、民主党政府から何か唐突に持ち出されたようなもので、正直なところ未だよく理解できていないという方が多いのではないでしょうか。私もその一人です。賛成派、反対派でそれぞれが示す具体的数字も異なり、余計に混乱します。
集会で示された“反対の立場”としての主張をお知らせします。
TPP(環太平洋経済連携協定)は、農産物の関税撤廃に加え、医療、金融、商慣行、法務など、経済社会全般に関わる24分野について規制の自由化を進める協定です。
現在までに、関税撤廃による貿易自由化と強い農業の確立を本当に両立していけるのか、政府は示していません。TPP反対派を抑えるために、農家への戸別所得補償を増額するなど、更なるバラマキともいえる政策程度しか打ち出せていないのが現状です。
そして、農産物の関税撤廃ばかりに目が行きがちですが、そればかりではありません。例えば、食品や環境に対して日本が独自に設けている安全基準、安全規制が「公正な競争を歪める非関税障壁」として撤廃や緩和を迫られることが想定されます。
過去にも、アメリカ、カナダ、メキシコが参加したNAFTA(北米自由貿易協定)により、カナダ政府がカナダ国内でガソリン添加物MMTの使用を禁止していることをアメリカが提訴し、カナダ政府がやむなく規制を撤廃した例をはじめ、いくつもの国家紛争が生じています。今後日本でも、例えば、残留農薬の基準値でアメリカでは日本の80倍もの基準値を設定している薬品について、アメリカが日本に対し基準値を緩和するよう求めてくる可能性もあります。輸入牛肉をはじめ食品の安全基準の緩和や遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃なども求められるかもしれません。このように様々な規制緩和を押し付けられることが起こりうるというわけです。
このように、国家が自国民の安全を守れなくなる可能性も出てきます。
そもそも、民主党政府は「アジア全体の成長を取りこむ」と言っていますが、中国、韓国が参加していないTPPではアジアの貿易の基軸にはなりえません。
交渉参加9カ国に日本を加えた10カ国の内需全体に占める“日米”両国の割合は90%以上ということで、これでは関税撤廃の経済効果は日米2国間での自由貿易と同じようなもの、という指摘もあります。では、アメリカへの輸出を拡大できるのか、ということになると、これも全くの未知数です。2012年に大統領選挙を控えているオバマ大統領が「米国労働者を守り、米国の雇用につながる貿易協定にしか署名しない」と述べていることからも、また、オバマ政権は今後5年間で輸出を倍増させ、雇用を200万人増やすと表明していることからも、TPPはアメリカが景気低迷や雇用悪化からの脱出を目指した経済戦略であるという見方をする人も少なくありません。TPPはアメリカの輸出倍増計画の一環であり、日本のアメリカ向け輸出が増えるわけではないということです。
TPP交渉参加9カ国としては、巨大なマーケットを持つ日本の参加は多くのメリットがあると考えており、アメリカだけでなく農業国であるオーストラリアや安価な労働力を売り込みたいアジアの途上国にとっても、輸出機会の拡大となるわけです。
安価な労働力の流入は、雇用情勢を直撃し、低賃金労働者が増加します。
安い輸入品で物価が一段と下落し、労働者の賃金・所得が減少し、消費が減少します。すると物価がさらに下落し、日本経済が縮小することになります。このような悪循環に陥ることになれば、TPP参加が国民の利益になるか、日本の発展につながるか、もっと議論を重ねていかなければならない、極めて重要な課題であることに間違いありません。
日本の産業界としてみても、円高の改善、デフレからの脱却、所得の向上を目指すほうが先決ではないでしょうか。
以上のような反対理由がありますが、それでもTPPに参加するべきであると主張する方々の意見や理由についても、調べていかなくてはならないと考えます。改めて、報告いたします。