2011/10/04
予算委員会での質問
1)除染への取り組みについて
福島第一原発事故から半年以上が経過しますが、残念ながら収束の目途は立たっていません。一時と比較して、この放射性物質の放出に対して慣れてしまったのか、良くも悪くも落ち着いており、見方によっては何となく風化してしまっているように感じています。
確かに、大気中の放射性物質量は減少し、農畜産物からもほとんど検出されなくなっています。しかし、現在も大気中に放出され続けていることは事実であり、また、既に降り注いだ物質も残留しています。
私は、このような現状を直視すれば、「除染」にいかに取り組んでいくかということは極めて大きな課題であると捉えています。
そもそも、低線量の被爆については、その影響について未知の部分が多いことから、数値がいくつ以下だから安心、いくつ以上だから危険ということは言えないと、国際基準を定めたICRP国際放射線防護委員会の担当者が述べているのです。
これらのことからすれば、例えば幼稚園・保育園の園庭や公園など、特に子どもたちが触れる場所の除染について、放射性物質量が多いから実施する、少ないから放置するという対応では十分とは言えないと考えます。
そこで、県として、現状をどのように考え、除染にどのように取り組んでいく考えがあるのか、県民生活部長に伺いました。
これに対する執行部の答弁は、『国の動向を見守る。国からの指示により市町が策定中の計画を待って、協力していく。』というものでした。
私は、非常に残念に感じました。これでは県の主体性が感じられません。
県自らが考え、判断し、行動することはないのか。県としての姿勢を打ち出し、市町をリードしていくべきではないか。
国が基準を定めたら、国が処分方法や保管方法を示したら、国が予算措置をしたら、東電が補償することになったら、実行します⇔示されないので実行しません。そんな姿勢でいいのでしょうか。
もはや、政府や東電の言うことは信用できないという声が多いのです。学者の主張だって右から左まで様々です。先に述べたように、基準だって分かりません。現在示されている基準で、「危険」とは言い切れないとしても、「絶対に安全」とも言い切れないはずです。
このように不確実なことばかりの中で、確実なことは、「除染(表土除去)をすれば放射性物質を減少させられる」ということです。そして、特に子どもたちの周りの追加被ばく量は少ないほうがいいということも確かなことなのです。
追加被ばく量を減らしていくために、今できることを着実に実施していく、というのがあるべき姿なのではないでしょうか。後世に対する我々の責務ではないでしょうか。
私の主張には根拠が乏しいとか、過敏すぎると思われる方もいると思います。しかし、繰り返しになりますが、「絶対」はありません。結果が出るのは十年先か二十年先か分かりません。健康被害が出るのか出ないのかも現時点では分かりません。それなら今できることから一つ一つ取り組んでいくべきだと強く訴えました。
例えば、県内には幼稚園・保育園が約600施設あります。園庭の表土除去に60万円かかるとして、その2分の1を補助するとしたら、全ての施設が手を挙げてたとして1億8千万円の予算がかかります。200万県民が1年間に90円、缶ジュース1本分負担してくれたら、あるいは我慢してくれたら実施できるのです。たとえ、この費用を県が借金したとしても、このような事業に使うためであれば、県民の理解は得られるのではないかと思います。
東大の児玉教授は、「安全か危ないかに決着をつけることよりも、測定と除染を徹底して行っていくことこそ、今大事なことである」とおっしゃっていました。私も同感です。
知事は、県民が栃木県に対して誇りを持ったり愛着を感じたりすることが大切と言っています。何か課題が浮き彫りになったときに、県が率先して行動を起こし、情報を発信していくことで、県民は県の存在意義を感じ、県に対し頼りがいを感じ、誇りや愛着を持つのではないでしょうか。
私の力不足で、前向きな答弁を引き出せませんでした。引き続き、問題意識を持って取り組んでいきます。
※(この質問のあと、福島県の子どもたちの健康調査の報道がありました。また、国が長期的な除染について目標の数値を達成できそうにないので、目標設定を見直すといった報道もありました。目標達成が難しそうだから目標を下げるなんて、不信感が増すばかりです。)
2)学校における暴力行為への対処について
県内の小中学校、及び高等学校における平成22年度の暴力行為発生件数が過去10年で最多となりました。
一部の学校、一部の生徒が繰り返しているという実態もあるようですが、それにしても続発しているというのは極めて重大であり、私は喫緊の課題であると認識しています。
そこで、このような暴力行為が続発している現状に対する教育長の率直な見解を伺い、また、県は今後どのような指導体制で暴力行為を防止していくのか、その対応策について伺いました。
直接担当するのは学校現場であり、教育事務所はこれを支援する立場にあります。学校現場では、学力や道徳力、職業教育等、課題は多岐にわたり、加えて本来は家庭で行うべき、朝食の指導等まで学校に任されるような現状もあり、極めて多忙であろうと思います。
しかしながら、学校現場の教員数を急激かつ大幅に増やすということは現実的に困難です。教育事務所が必要十分なサポート体制を取り、支援していかなければならないと考えます。
暴力行為に対して、各教育事務所にある「いじめ・不登校対策チーム」を中心に対応していくと答弁にありましたが、現体制で十分といえるのか、疑問があります。いじめ・不登校事案もなかなか減少しない中、暴力行為にも取り組め、となると、マンパワーとしてかなり厳しいのではないでしょうか。ここはしっかりと増員・増強を図る必要があると考えます。
参考までに、学校を支援する体制について具体的に数字を示すと、それぞれの人数の推移は、
◆ スクールサポーター(各教育事務所に配置。小中高の管理職経験者)
・仕事内容:学校の生徒指導体制への指導・助言。
児童・生徒の問題行動についての相談・指導。
・人数の推移:平成21年=16名 → 平成22年=11名(△5名)
◆ 子どもと親の相談員(小学校に配置。教職員経験者他)
・仕事内容:児童の話し相手、悩み相談。家庭・地域と学校の連携支援。
・人数の推移:平成20年=20名 → 平成21年=14名(△6名)
◆ 生徒指導推進協力員(小学校に配置。警察官経験者、管理職経験者他)
・仕事内容:校内等の巡回、問題行動等の予兆の早期発見・未然防止。
・人数の推移:平成20年=5名 → 平成21年=4名(△1名)
また、「いじめ・不登校対策チーム(スクールサポーター含む)」の推移は、
平成21年 32名 → 平成22年 25名(△7名)となっています。
このような人員の減少というのは、財政健全化プログラムが少なからず影響しているものと考えます。しかし、実情を直視して対応策をとるべきであり、どの事業も一律削減ではなく、横ばいの事業があっても、また増加する事業があってもいいはずです。
この問題については、教育委員会だけの問題とせず、財政部門も含めて、県庁全体で考え、取り組んでいくべき重要課題です。単なる財政規律では片付けられない問題であると考えます。
教育事務所の役割は益々増えていきます。来年度予算に向けて、学校現場の課題に的確かつ迅速に対応していくことができる体制づくりを、オール県庁で作り上げてほしいと思っています。
以下は時間が足りず発言できませんでしたが、私の思っているところですので掲載します。
暴力行為の中でも、対教師暴力が特に問題であろうかと思います。この背景には、やはり家庭環境があると思います。親が教師を尊敬しない。子どもの前で先生の悪口を言う。このような環境で育った子どもは、先生のことを尊敬しなくなるでしょう。
梶 克行県議が今議会の一般質問で、教育問題について熱意ある主張をされました。教育長は控えめに「教員が自らを律し尊敬される存在になるよう努力しなければいけない」といった主旨の答弁をされました。教員や学校だけが努力しても相乗効果になりません。 「幼少期から親が学校に対し自分勝手な主張を続ける。→学校側が弱い立場にあり何となく受け入れる。→自分勝手が増長していく=悪循環である。親に対し早い段階からの毅然とした指導が必要であり、周囲がそれを肯定し後押ししていく環境が必要である」と、ある論文にも書いてありました。
自分にも置き換えながら、親として社会や学校に対しどうあるべきかを考えていきたいと思っています。