政策提言・時事問題リポート

2011/09/01

行政機構調査検討特別部会での意見取りまとめ

自民党議員会 行政機構調査検討特別会

「県の組織・機構のあり方について」案


1 課題に対応する組織・機構のあり方


 (1)企画部門と財政部門のあり方

 社会経済情勢の変化に伴い、県民ニーズや行政課題は多様化・高度化の度合いを強めている。その一方で、財政は厳しい状況が続いていることにかんがみ、県は県民ニーズへの的確な対応策を用意しつつ、地方分権改革の進展も踏まえ、より柔軟性を持った自主的・自立的な県政運営体制を確立していく必要がある。

 そのための具現化策として、現行の行政運営体制の再編成を検討する必要がある。
例えば、財政運営、人事政策、行政改革推進、県有財産管理等のあり方について検討する必要がある。
(現在は、経営管理部に「人・物・お金」つまり人事・管財・財政が集中しており、さらに行政改革も含まれている。)


◆ こうした状況の下、重要施策については迅速にトップダウンで意思決定し、予算を重点配分するといった
 知事のトップマネジメント機能を強化することが必要である。


◆ 総合政策部と各部局が協議し調整した上で企画立案された重要な施策は、予算上の裏付けをもって実行
 されるようにしなければならない。


◆ 並列型の部局構成から、知事直属で、重要施策が確実に実行できるよう総合政策部のあり方(調整機
 能重視から企画立案機能重視へ)の転換を検討
する必要がある。


◆ 総合政策部が打ち出す施策については、総合政策部が各部局と協議した成果が目に見える形で表れる
 ようにすべきである(予算上別枠で対応できる、又は、当該年度は予算化されなくても次年度優先的に予算
 化されるなど)。


全庁的な視点で戦略を打ち立てるのは総合政策部であることを明確にすべきである。例えば、民間
 企業との人事交流については、「誰を派遣するか」は人事課の仕事だが、「何の目的を持って、どこに派遣す
 るか」は人事課ではなく、総合政策課など戦略を考える部署の仕事であろう。(戦略を立てるところから人事
 課の役割であるならば、総合政策課と人事課の連携強化が必要である。)


◆ 教育委員会と知事部局に跨る所管業務が増える中で、双方の連携強化を検討していく必要がある。


 (2)行政改革推進の体制

◆ とちぎ行革プランには取組項目が掲げられているが、目標を達成するために具体的に何をすべきか、が重要
 である。各項目に掲げられている取組内容がきちんと実施されているか、チェックする必要がある。


◆ 行革プランを実効性あるものにしていくための体制は現行のままでいいのか、検討をしていく必要がある。
 現在の行政改革推進室のように、他部署と横並びではリーダーシップをとりにくい。
 例えば、組織改編業務や定数管理業務(現行は人事課所管)を所掌事務に加えるなど、権限や機能を強化し
 て、全庁的な視点で専門的に行政改革に取り組めるような部署が必要である。


◆ 日々生まれる新たな事務事業については、その所管部署の決定過程で混乱が起こる可能性があり、当該
 事務を行革推進部門が担うべきである。


 (3)県有財産の処理

◆ 組織のスリム化が進み、県の役割が変化する過程で、今後は役割を終え、利用されない県有財産が増加す
 る事態が想定される。また、現在の厳しい財政状況において、未利用県有財産の売却等により歳入の確保に
 寄与することは重要で、そのための体制を整えることが必要である。


◆ 従来、県有財産の処理は、案件によって管財課かあるいは所管する部局が取り扱うという対応方針がとられ
 ていた。この方針を変更し、財産管理や財産の処理については、これを一元化して専門の担当部署を設
 置する必要がある。
(例えば、廃校となった県立学校について、当該敷地の有効活用策を考え敷地を処分す
 るのは、教育委員会の所管とすべきではない。管財課担当とするか、専門の部署を設けるべきである。)
 なお、その際、財産の管理と財産の処分については同一部署が扱うのが適当かどうか、なお検討する必要が
 ある。



2 スリム化と行政サービスの向上


 (1)市町村への権限移譲

◆ 地方分権改革に関し、第1次一括法等に続き、第2次一括法が成立するなど、地方分権改革の進展ととも
 に  、国、県、市町村、それぞれのあり方や相互の関係が対等を基調として変わってくる。行政事務事業につ
 いては、県民にとって身近な基礎自治体である市町村が行政サービスを提供することで、県民サービスの向
 上が図られることになることから、県から市町村への権限移譲については、これからも積極的に推進する
 必要がある。



◆ しかし、市町村によって同じ業務であっても大きく対応が異なったり、柔軟な対応ができなくなるなど権限移
 譲による懸念すべき事項も認められる。県は市町村に権限移譲することによって行政サービスが低下す
 ることのないよう、必要な支援をする必要がある。


◆ 市町村合併が進み、市町村への権限移譲が進んでいることにかんがみ、地域振興局を設置する必要性は
 薄れてきたと考える。


 (2)民間活力の活用の推進

「民間にできることは民間に」の原則の下、サービスの向上と経費節減を図るため、県有施設管理におけ
 る指定管理者制度の活用を進めていく必要がある。


◆ 指定管理者の選定にあたっては、非公募ではなく公募制をとる、公募施設においては応募団体を増やす努
 力をするなどして、幅広い範囲から最も適した管理者を指定できるようにする必要がある。


◆ 多様な主体との協働が重要性を増す時代がやってきている。その中で、NPO法人や民間企業との協働事業
 を進めるに当たり、例えば、前例がないことを理由として協働事業が進められないということがないよう、職員も
 意識改革をする必要がある。


 (3)人材交流の推進

◆ 人事交流は人材育成だけが目的ではなく、交流先との連携を深めネットワーク構築を図るという目的を
 もって推進
する必要がある。


◆ 民間企業への派遣については、明確な方針を持って行うべきである。(将来の幹部候補を民間に派遣して研
 修させるのか、それとも一定の人数を派遣して民間企業との交流の継続を図るのか。)


◆ 民間企業から様々なノウハウを学ぶという、人材育成が目的であるならば、今よりも派遣人数を増やすべき
 である。


◆ 人事交流は、今後とも国、他県、市町村、民間企業など、幅広い分野と領域で進めていく必要がある。