政策提言・時事問題リポート

2011/06/10

中学校教科書の採択について

今年の夏、4年に1度の中学校の教科書の採択が行われます。 つまり、今後4年間使用する教科書を決めるという、とても重要な作業が行われます。


 採択の権限は、その学校を設置する教育委員会にあります。足利市立の中学校の場合は、足利市教育委員会となります。県教育委員会の役割は、採択権者(市町)に指導・助言・援助を行う、とされています。


 教育基本法には、「教育の目的」として、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と明記されています。


 そして、平成18年の教育基本法改正では、新たに「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する」ことが教育の目標の一つとして示されました。これを受けて改正された学校教育法では、義務教育の目標の一つとして、「我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導く」ことが規定されました。


 これに伴い改訂された学習指導要領では、「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる。」「国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を理解させ、尊重する態度を育てる。」ことなどが明記されています。


 また、教育基本法では、「教育は不当な支配に屈することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、・・・」とも明記されていますが、栃木県においては、過去に教科書採択事務に対し、外部から不当ともとれる過剰な干渉があり、教科書採択が歪められたことは全国的にも有名です。


 当然ながら、教科書の検定基準は、教科書が教育基本法、学校教育法、学習指導要領のそれぞれの目的に一致していることを求めています。もちろん、政府の公式な見解とも一致していなければいけません。


 しかし、残念ながら、国の教科書検定を通過したものの中にも、自衛隊の存在を否定したり、拉致問題や領土問題を軽視し、それどころか原因が日本にあるかのような記述をしている教科書があるのが実際のところです。まさに、日本は悪い国だという自虐的歴史観を植えつけようとしているかのようで、子どもたちがどのような大人へと成長していくか、危惧されます。


 震災後、日本人の礼節ある行動、支え合う気持ち等が、世界から高く評価されています。私たちは国に、日本人であることに誇りを持たなければいけないと思います。


 県内の市町において、教育関係法規に最も適する教科書が採択されることを切望しています。