2010/11/06
尖閣諸島沖中国漁船衝突事件について思うこと
尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の録画ビデオがインターネット上に流出するという大事件がありました。とても驚きました。
この映像からは、中国漁船が海上保安庁の巡視船に故意に船をぶつけてきたことが見て分かります。どちらの側に非があるのか、どちらがウソを言っているのか、一目瞭然ではないでしょうか。
確かに、国家機密の漏洩という点では大問題ではありますが、国民の多くが問題視しているのはそこではありません。
○日本側の正当性がこれほどまでに明らかになる証拠を、国会にも、国民にも、国際社会にも、事件後すぐに公開しなかったのはなぜか。
○このようなビデオが存在しているのを2カ月以上も隠し続けたのはなぜか。
○領海侵犯ではなく単なる漁業法違反での逮捕はなぜか。
○漁船の船長を処分保留のまま釈放したのはなぜか。(今後、起訴する意思がないことは明らか。)
こういったことについて、現政権は説明責任を果たさなくてはいけないと思います。例えばこれまで「船長の釈放は検察の判断」と繰り返し、責任を丸投げしてきましたが、この言い分を信じている国民はいないでしょう。そこに政治判断があったと考えるのが普通です。
また、このビデオ流出が発覚する前に民主党政府が衆議院に提出したビデオは、たったの6分とのことです。現場を撮影した本物のビデオは2時間を超えるそうです。ここでも、民主党政府は「ビデオは検察庁が判断し編集した」と主張しているそうですが、これでは船長釈放と同じくまた責任の丸投げです。編集したものしか見せないとなると、中国は「日本が自分たちに都合のよいところだけを意図的に選んで編集した、改ざんビデオだ」といった主張をし、日本を非難してくるのではないでしょうか。
中国で対抗措置のように拘束されてしまったフジタの社員は何のために拘束されなければならなかったのでしょうか。政府がビデオ公開を含め毅然とした態度をとっていたら、あのような強硬な姿勢は取られなかったかもしれません。
民主党幹部は、「倒閣を狙ったテロだ」とか「犯人は誰だ」「犯人には厳罰を」などとコメントしているようです。これではまるで自分たちの保身ばかり考えているように聞こえます。
これまで菅総理は「日中双方が冷静に対応を」という言葉を何度も使っていますが、ここもおかしいと思います。「双方」ではありません。事実を認め、謝罪すべきなのは中国であるにもかかわらず、デタラメを並べて日本を攻撃しているというのが状況です。
海上保安庁の巡視船に乗っていた方々は命がけだったと思います。録画撮影していた人もそうです。中国漁船にぶつかられて船が破損し、沈没してしまうかもしれません。このような危険な任務に、強い信念を持って取り組んでいる方々には、これまでの政府の対応はどのように映るのでしょう。残念に感じている人も多いのではないでしょうか。
ロシアの大統領が北方領土を訪問にしても、中国漁船衝突事件での日本の対応がロシアの強行を招いてしまいました。
このような現状に危機感を覚え、日本の行く末を憂い、なんとかして日本を守りたい、真実を伝えたいと思う人もいるでしょう。
戦後、先人たちが苦労をして築き上げてきた、国際社会における日本の地位や信頼というものが、音を立てて崩れていってしまっています。これを修復し、取り返すのは容易なことではありません。
日本のマスコミも、犯人さがしを報道し始めましたが、国民の声や国際社会の反応も正しく報道してほしいと思います。
そして民主党政府は、国益は何かという考えをしっかりと示し、国民の声、国際社会の声に真摯に耳を傾けていかなければいけないと思います。