2010/10/15
9月議会で採択した意見書について
毎議会で国に対し意見書を提出しています。今年度はこの意見書の作成を担当しています。
今議会で採択されたものについて、その概要を報告します。
1)さらなる経済対策を求める意見書
我が国経済は、依然として巨額の需要不足によるデフレ経済下にあり、設備投資の水準は低く、失業率が高止まりしているなど厳しい状況にある。さらに、80円台に突入するなど急激に進んだ円高は、生産拠点の海外移転を加速させ、国内産業の空洞化と国内雇用の喪失を進め、中小企業のウエイトが高い地域経済に計り知れない打撃を与える懸念がある。
よって国においては、為替相場の安定に向け、的確なマクロ金融・経済政策を講じるとともに、本格的な地域経済の活性化と雇用情勢の改善に向けて、次の事項を速やかに実行されるよう強く要望する。
記
一 デフレ脱却と為替相場の安定に向けて政府が強い意志を示すとともに、日本銀行との適切かつ強固な協力 体制を構築し、財政政策と金融政策の調和を図ること。
二 地域医療・福祉対策、地球温暖化対策など、将来性ある事業に集中的に投資し、企業による雇用や設備投 資を促進すること。
三 地域経済や雇用の下支えをするとともに、地域の安全安心を確保するため、必要な公共事業関係費を確保 すること。
2)児童虐待対策の強化、推進を求める意見書
児童相談所における相談件数は年々増加しており、本県でも市町村分を含めると一千件を超える状況にある。さらに、近年、虐待により子どもの尊い命が奪われる重大な事件も全国において続発しており、非常に深刻な事態となっている。
また、児童相談所の一時保護が増加するとともに、父母が親権を盾に児童養護施設等に対して不当な干渉・要求を行うなどの問題もあり、子どもたちを虐待から守る早急な対策が求められている。
よって国においては、児童虐待対策を推進するため、次の事項を速やかに実行されるよう強く要望する。
記
一 児童相談所の機能強化を図るため、児童福祉司の配置基準を拡充するとともに、十分な財政措置を 行うこと。また、身近な相談窓口である市町村の児童虐待対策の強化を図るため、職員配置の基準を設け るとともに、財政措置を行うこと。
二 親権を盾に、その陰で行われている児童虐待に対して、実効性のある対応を可能にするため、父母の「親 権の一時停止」や「監護権の停止」を認めるなど、より弾力的に親権制限を行使できるよう法制度の整備を 進めること。
3)地方分権に対応する地方議会の確立を求める意見書
地方公共団体の長と議会がそれぞれ住民の意思を代表する二元代表制の下では、首長と議会は対等の機関であり、議会は自治体運営の基本的な方針を議決し、その執行を監視・評価することが求められている。
しかしながら、一部の自治体において、首長が法令の規定に違反し、議会を招集せず、専決処分を濫用し、議会の権能を封じ込める事態が発生している。
政府及び国会はこのような二元代表制を否定し地方自治の根幹を揺るがす状態を座視することなく、事態打開に向けて所要の法改正を行うべきである。
また、地方分権の推進に伴い役割が拡大する地方議会を充実・強化するため、地方議会の役割・権限の明確化も急務である。真に地方分権時代に対応する地方議会を確立するため、次の法改正を速やかに実行されるよう強く要望する。
記
一 首長のみが議会を招集する現行の仕組みを改め、議長にも議会招集権を付与すること。
二 政治活動との区別を踏まえたうえで、住民意思の把握などを含めた地方議会議員の職責・職務の範囲を明 確にすること。
4)尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見
九月七日、尖閣諸島沖の我が国領海内において中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生し、公務執行妨害容疑で逮捕、送検されていた中国人船長を、那覇地方検察庁は、二十五日、処分保留のまま釈放した。
事件発生後、中国側は閣僚級以上の交流停止や国連総会での日中首脳会談の見送りなど、強硬な姿勢をエスカレートさせているばかりでなく、中国人観光客が訪日を中止するなど、我が国経済にも悪影響を及ぼしている。
このような中で取られた今回の処置は、極めて遺憾であり、日中関係を長期的な観点から捉えると、将来に大きな禍根を残してしまったと言える。
領土を巡る事案は、国の主権そのものに直結するものであり、独立国家とし
て毅然とした姿勢を貫かなければならないと同時に、中国との間で、真の意味での対等で互恵の関係が構築されることは、様々な経済的文化的な交流を推進しようとしている地方公共団体にとっても不可欠の前提条件であり、重大な関心事である。
よって、国においては、毅然とした外交姿勢の確立と真に対等で互恵の日中関係の構築に向け、次の事項を速やかに実行されるよう強く要望する。
記
一 「尖閣諸島は日本固有の領土である」との歴史的事実に基づく態度を、明確に中国及び諸外国に示し、今 後尖閣諸島を含む我が国の領土において、同様の事件が起こった際は、国内法に基づき厳正に対処するこ と。
二 検察当局が行った判断の根拠を国会において明らかにするとともに、衝突時のビデオテープを公表するなど 、国民に対する説明責任を果たすこと。
三 中国からの謝罪要求や賠償請求に応じず、日本が被った損害賠償を請求すること。
四 尖閣諸島に係る海上保安庁の監視・警備体制を充実・強化すること。
以上の4本です。
2の児童虐待対策については、最近のあまりにも悲惨な事件を目にするたびに、どうにかしていかなければいけないと強く思っていたので、今回提出させていただきました。児童相談所はパンク状態にあり、担当職員の権限だけ増やされても、実際に対応する人員そのものが不足しているのが現状です。地域間格差が出ないように、国として配置基準を拡大することを要望しています。
同僚の五十嵐県議が一般質問で触れましたが、自治体によっては児童相談所に現役の警察官を配置し、警察官の職権で立ち入りなどができる体制を構築しているそうです。このような事例も参考に、栃木県でも一歩踏み込んだ対応をしていくべきだと思います。
また、4の尖閣諸島問題については本当に残念に感じています。政府には国民の生命・財産を守るための主権・領土を守る責任があります。主権や領土が侵されては国民の安全は守れません。政府はこういった責任感に欠けているのではないでしょうか。
委員会でも、官房長官が「弱腰ではない、柳腰だ」などと答弁しているようですが、くだらない言葉遊びをしている状況ではないはずです。危機意識が感じられず、憤りを感じます。
国家の安全保障というのは将来に向けてのまさにベースとなることであり、そのために長年外交努力を重ね、国際社会における信頼関係を築き上げてきたのだと思います。しかし、政権が変わってから、アメリカからの信頼を失い、今度は中国からの圧力に屈している状況です。私たちの子や孫の時代の
ためにも、日本が平和のうちに独立国家として存続していけるよう、政府には本気で取り組んで欲しいものです。