2010/06/14
県議会で採択された意見書について
最終日の今日、国に対して提出する「意見書」の採択が行われました。
①警察官の増員に関する意見書
②歯科補てつ物の安全性等の確保についての意見書
③口蹄疫に対する総合的な支援の早期実施と法整備を求める意見書
④今後の保育制度改革に関する意見書
⑤国会改革を求める意見書
⑥脳脊髄液減少症の診断・治療の確立を求める意見書
⑦中小企業対策の充実強化を求める意見書
の計7本を採択しました。このうち、②と⑤について報告いたします。
②について
『入れ歯や冠等、歯科医療の用に供する補てつ物の作成等は、歯科技工士法により歯科医師又は歯科技工士の国家資格を持つ者でなければ業として行ってはならないと定められている。
しかし、現在、歯科補てつ物の国外への発注等は法律で規制されておらず、近年国外で作成されたものが散見されており、品質や安全性を確保する観点から問題が指摘されている。
国外で作成された補てつ物についても、国内で作成されたものと同等の安全性確保の対策がなければ、国民の健康被害につながることが懸念される。
よって、国外で作成された歯科医療用の補てつ物の取り扱いに関して、その安全性等を確保するための法的整備を含め、実効性のある速やかな措置を講じられるよう強く要望する。』
国外で作成された場合には、品質や安全性を担保するための法令上の規制がなく、雑貨扱いとして輸入されてしまっているという現状があります。中国をはじめとする外国製の衣料品や食料品、おもちゃ等で、国内では使われていないような想定外の物質が見つかった事例は過去にもあります。どのような物質が使用されているかも分からず、歯科補てつ物にいたっては口の中に半永久的に残るものですから、健康被害が心配です。国の迅速な対応を期待しています。
⑤について
『国では今国会において、地方に対する義務付けや枠付けの見直しを中心とする、いわゆる地域主権推進一括法が提案されるなど、国から地方への分権の流れは進んでいる。
このような中、多くの地方自治体が行財政改革を推し進めて、地方議会議員の報酬カットや定数削減等に取り組んでいるところである。
真の地方分権を実現するためには、現在の政治や経済など各分野における中央集権的な体制を国自らが見直していくべきである。
さらには、国の今年度の当初予算では、税収を大幅に上回る国債を発行するなど、国家財政は大変危機的な状況にある。
しかし、こうした状況にもかかわらず、国会議員定数の見直しは進んでいないなど、改革は未だ不十分である。
よって、衆参両議院及び政府にあっては、地方における取り組みを参酌しつつ、時代の流れに的確に対応し、国会議員の定数を3割削減するなど、国会改革に速やかに取り組まれるよう強く要望する。』
こちらについては、民主党会派、共産党会派が反対したことで、全会一致で採択とはなりませんでした。とても残念に感じています。
民主党会派から反対の理由として述べられたのは、「民主党のマニフェストに参議院議員を2割減らすと書くから、県から意見書を出す必要はない」、「3割削減の根拠が明確ではない」、「参議院選挙前に選挙利用だ」ということでした。
この10年間で地方議員数は約半分に減っています。栃木県議会の議員削減率は全国第6位です。地方がこのように努力しているのだから、国会もせめて3割くらいの削減努力をするのは当然ではないか、ということです。マニフェストに書いても実行する気配がないのですから、地方から強い決意を持って要望する行動が否定されるものではないと思います。(結局民主党も2割削減の根拠は示しませんでした。)
また、選挙利用だ、と言いますが、公明党会派、みんなの党会派、無所属会派も議員も全員がこの意見書に賛成しています。
この意見書に記された内容については、きっと多くの県民の皆さんの賛同をいただけるものだと思っています。多くの県民の皆さんからお聞きした声を具体的にまとめ、国に働きかけるのも我々地方議員の仕事です。
今回提出するのは、議員定数だけではなく、文書通信交通費や事務所費などを含めた「国会改革」を求める意見書です。地方をみならい、まずは国会議員自らが範を示すべき、という意見書の提出に、「反対」するということが理解できません。反対理由も、反対のための反対、といった感じでした。
国家財政が破綻の危機にある中、借金を重ねながらバラマキ政策を続け、一方では増税しようとするなど、到底納得できるものではありません。新総理が「財政再建を最優先」というのであれば、この内容について取り組むのは当然であると思います。