政策提言・時事問題リポート

2009/11/24

最近の国政について思うこと

現在、国においていわゆる 「事業仕分け」 というものが行われています。
一般的には、 「新しいことをしている」と写り、そこそこの評価のようです。しかし一方では、自分の能力を過信したような、あの威圧的な議員の姿勢には大きな非難もあるようです。私もあのケンカ腰の態度はいただけません。

私がお世話になっている国会議員から送られてきた論文から、国会現場での様子を紹介します。
『新政権は 「ムダをなくせば財源はある」 と主張してきました。そのムダを洗い出すために設置されたのが行政刷新会議であり、洗い出す手法が事業仕分けということです。
進め方は、まず対象となる事業を選択するのですが、3,000を超える全省庁の事業から447事業が選定されました。ここで、どういう基準で対象事業が選定されたかは不明です。まずここが問題です。選定された時点でムダだと宣告されたことになります。

対象事業の廃止・削減により必要な財源を生み出すことが目的となってしまい、その事業がムダなのか必要なのかは関係なく、削減目標額を達成するための数字合わせのために対象事業を選定した恐れが強くあります。
事業仕分けの対象事業は財務省が作成したと言われています。財務省は従来から各省庁の予算を減らす努力をしてきた役割ですから、国民の声とは関係なく財務省として減らしたい事業を事業仕分け対象事業とすれば、目的を達成しやすくなるわけで、行政刷新会議を隠れ蓑(かくれみの)にしようとしているという指摘があります。これでは、これまで以上に 「官僚主導」 の色が強くなってしまいました。

このように、何のための事業仕分けか分からないまま対象事業が選定され、選定された対象事業についてのみ仕分け作業が行われているのです。
事業仕分けの作業は、民主党議員数人と、どういう基準で選ばれたか分からない民間人10人位のチームで、事業についての短時間の説明後、即時に多数決によって廃止・削減の決定を行うという手順で行われています。担当省庁から説明後、わざわざ財務省の意見を聞きます。これが不思議なところです。そして1時間でその事業の運命が決まるというわけです。

対象事業の選定と同様に、事業仕分けの基準は示されていません。
このような、数字合わせの財務省主導の事業仕分け作業では、ムダ削減に取り組んでいることを国民に印象づけるためのパフォーマンスと見られても仕方ありません。

最近になり、テレビのニュース番組でも、対象事業について事前に作成された資料が関係議員に配布されている等、財務省主導で行われていることが指摘されています。
せっかくの事業見直しです。特殊法人、天下り、随意契約、渡りなど、地方では考えられないようなことが未だに中央では行われているわけですから、国民の期待に応えられるように、公平公正に行っていただきたいものです。

また、「地方交付税」についてもこの事業仕分けの対象というような報道がありました。これは私がこのホームページで過去に書いたことがありますが、地方交付税は地方固有の財源であり、地方自治体間の格差是正のために再配分するシステムです。国がその総額を減らすなどあり得ない話ではないでしょうか。

さらには、目玉政策である子ども手当を実施するのにお金が足りないので地方にも負担を求めるとか、マニフェストに掲げた事業を実現するために赤字国債を発行する、つまり借金を増やす、とか、信じられないようなことを言っています。 そもそも、選挙対策として、財政事情から見ても実現困難な政策を並べてしまったわけです。それを実現しないと公約違反と言われてしまうから借金をしてでも実行する、というのでは、本末転倒であり、国民はそんなことは臨んでいないと思います。
 
先日、アメリカのオバマ大統領が来日しました。アジアで最初に訪問した国ということですが、滞在時間はたったの23時間。一方で中国には3日間も滞在し、学生とのミーティングなど数々の事業をこなしたそうです。現在、アメリカ国内では「世界一やっかいな国は中国ではなく日本だ」という論調が強くなってきているという論文を目にしました。米軍基地の移設問題にしても、過去の合意は国と国とのものであり、アメリカと自民党で結んだものではないはずです。その合意は自民党時代のものだから白紙だというのでは、相手国の信用を失います。すぐ隣の国に核の脅威がある中、日本がこれからも国家として存続していくためにはどうするべきか。将来が不安になります。

決して全てを否定するわけではありません。マスコミの報道に流されすぎることなく、評価するものは評価し、見直すべきものは見直すように、地方議員の立場でできることをしていきたいと思います。