2009/09/05
総選挙を終えて
去る30日に総選挙が行われました。ある程度予想していた結果ではありましたが、それが現実のものとなりますと、改めて複雑な心境であり、考えるものがあります。
自民党にも数々の不祥事がありました。相次ぐ閣僚の問題、総理ご本人の不適切な発言など、国民からの信頼を損ねてしまうようなことが事実として起こってしまいました。我々地方議員から見ていても、一体何をやっているんだと憤りを感じることもありました。東京都議会議員選挙などは、国会がそのままストレートに反映されてしまい、本当に気の毒に感じています。
しかし、「政権選択の選挙」と言われた今回の選挙です。そこでは当然ながら、政局よりも政策で判断されるべきであると主張する人も少なくなかったはずです。しかしながら、実際のところは、メディアの報道では、官僚の不祥事や世界同時恐慌からくる不況さえも、全てが自民党の責任であるかのように報道されてはいなかったでしょうか。そして、誰がこんなことを言った、誰の選挙区にはどういった刺客が出馬した、といったような報道ばかりで、まさに政局中心であったように思えます。ですから、候補者同士の人物評価はされず、自民党候補はダメ、民主党候補なら誰でもいい、といった投票になってしまったとも言えるのではないでしょうか。
ここまで差が開いてしまうのは、このようなことも一因となっているのではないかと思います。政策を比べても、また自民、民主両党の幹部の不祥事という点でも、よく考えてみるとここまで大きな差はなかったはずです。
人の失敗をとことんまでつつく、吊るしあげる、そんな世の中になってしまったような気がしています。かつて日本は外国人が驚くほど、思いやりがあり、礼儀正しく、勤勉で、謙虚で、そして平和で安全な国であったはずです。このところ急激に変わってきてしまったのではないでしょうか。
心配な点がいくつかあります。
1つは安全保障の問題です。核実験やミサイル発射を繰り返し、拉致問題にも不誠実な対応をする国、軍事費を毎年増強している国がすぐ隣にあります。軍隊を持たない日本です。抑止力となっているのは米国です。これまでの政策を大幅に転換させることは危険ではないでしょうか。日本という国が平和のうちに存続していくことは、何よりも優先されるべきであると思います。
1つは教育問題です。国歌斉唱や国旗掲揚に反対し、日本は侵略戦争をした悪い国だと子どもたちに教え込む。公教育の質の確保と学力向上のための「全国学力テスト」にも「教員免許更新制度」にも反対する。教師としての仕事よりも組合活動を優先させる。新政権はこのような組織と表裏一体にあるわけです。「教育の政治的中立」という原則についても、「そんなことはありえない」と断言してしまう人たちです。将来を担う子どもたちが、どのような教育環境で育っていくことになるのか、本当に不安です。
結果責任は、我々国民が負うことになります。
いずれにしても、今回の結果を真摯に受け止め、反省にたち、出直していかなければなりません。県としても地域に目を向けた政策を行い、同時に行財政改革を加速させていく必要があります。
また、地方分権・地方主権を加速させていくために、地方の声を正確に積極的に伝えていくために、全国知事会をはじめとする地方団体の役割は今後ますます大きく、重要になってきます。我々住民の本当の声を届けていけるように、働きかけていきたいと思います。