政策提言・時事問題リポート

2009/02/26

教育環境の充実について

( 1 ) 優秀な教員の確保について
 新学習指導要領への対応、難しい子どもや親への対応など、学校現場には多くのことが求められている。加えて、団塊世代の大量退職時代を迎え、優秀な教員の確保は重要な課題である。
 教員採用に当たり、全国で20以上の自治体で社会人特別選考枠を導入している。この動きは今後も拡大していくと思われる。
 社会人の採用により、社会人経験を活かした柔軟な対応や、学校経営への新たな提言、児童生徒がより実践的な知識や技能を身につけられるという効果が期待できることから、社会人特別選考枠の導入について進めていくこと。


( 2 ) 学力向上への取り組みについて
学力低下が懸念され、国においても授業時間の増加などゆとり教育からの転換が図られている。本県においては、来年度から小中学校全学年において本県独自のいわゆる学力テストを実施することが発表された。
テスト結果を十分に分析し、今後の学習指導方法の改善に役立てていくとともに、子どもたちが分かる楽しさ、知る楽しさを実感し、学習意欲の向上や学習習慣の定着に結び付けていけるよう取り組んでいくこと。


( 3 ) 国語教育と読書活動の推進について
 国においては、国語教育を重視し、各教科での言語活動を充実させていく方針が出されている。このことは、他教科の学力向上にもつながるだけでなく、何よりも豊かな人間性や社会性を育んでいくという観点から極めて重要であると考える。

 県としての具体的方針を打ち出し、教材研究など学校現場を支援していくこと。
 また、国語力を身に付けるための有効な手段である読書活動について、読書推進計画の適切な運用に努めるとともに、幼稚園や保育園などにおける幼児期の読書活動も進めていくこと。


( 4 ) 情報モラル教育の充実について
インターネット利用の弊害が叫ばれているが、これに起因した事件事故が後を絶たない。国では教育振興基本計画に情報モラル教育を盛り込み、本県においても情報安全事例集を作成し取り組んでいるが、今般、学校における携帯電話の取り扱いに関する方針が打ち出されたところである。
これら本県独自の施策や方針が、現場において適切に運用され、十分な効力を発揮していけるよう、学校現場への指導を徹底して行っていくこと。
また、家庭の理解と協力を得ていくために、あらゆる機会を通じて啓発を行っていくこと。


( 5 ) 県立高校教育の活性化について
県民の高校教育に対する要請は多様化してきており、それぞれの県立高校においては地域におけるその存在意義が問われる時代となっている。
そのため、各県立高校がそれぞれの将来構想を明確に描き、それに基づいて特色化を進めていく必要がある。
学校が独自に展開する教育活動に対し必要十分な支援を行い、高校教育の活性化に取り組んでいくこと。


( 6 ) 高等特別支援学校の整備について
障がいを持つ子どもたちが、将来自立した生活を送れるような教育環境を整えていくことは極めて重要な課題であり、我々の責務であると考える。特に高等部においては、高い就職率を目標とする職業教育中心の学校が求められており、全国で20を超える自治体で、軽度の知的障がいの生徒を対象にした学校が整備されている。
我が県でも、いわゆる「高等特別支援学校」の早期開校を目指し、その整備に早急に着手すること。


( 7 ) 幼児教育の充実について
 改正教育基本法に幼児教育の重要性が明記され、学校教育法でも幼稚園が学校種の最初に規定されるなど、幼稚園に対する教育機関としての期待は大きなものがある。
 また、多くの園では、少子化対策や子育て支援策としての各種事業にも取り組んでいる。
 園の事業実施実績に基づいて、市町と連携しながら、県として弾力的な支援策を推進していくこと。
 第3子以降単独在園児童の保育料についても、その減免を検討していくこと。


( 8 ) 地域における子どもたちの安全確保について
 全国的に幼い子どもが犠牲となってしまう凶悪事件が続発している。子どもたちの安全確保のために、現在ボランティアによるパトロールなど地域を挙げて安全確保に取り組んでいただいているところである。
より効果的な防犯方法を効率的に実行していくために、専門家の意見を取り入れた県としてのモデルを示していくこと。そして各地域において学校長がリーダーシップを発揮し、各種団体に働きかけながら、子どもたちの安全確保に取り組んでいくこと。


( 9 ) 県立高等学校等校舎の耐震化促進について
 県立高等学校の耐震改修状況について、全521棟のうち診断済187棟、未診断334棟となっている。また診断済187棟のうち補強工事未実施のものが64棟ある。
 「県立高等学校耐震補強基本方針」では、平成27年度までに耐震補強を行うとなっているが、生徒の安全確保の観点から、そして県立高校の多くが地域の指定避難場所になっているという実態から、早期に補強工事が100%完了できるように、耐震診断、耐震補強ともに計画を前倒しして取り組んでいくこと。
 同時に、公立小中学校の耐震補強について、県としての支援等を検討すること。