政策提言・時事問題リポート

2008/08/28

9月補正予算に際しての予算・政策要望について

本日、議員総会の席で了承を得た後、福田富一知事に対し、要望を行いました。この要望書は所属する政務調査会で取りまとめたものですが、財政的な事情も考慮して、緊急性のあるもの、21年度当初予算に向けて準備を進めてほしいもの、などの政策要望を中心に作成しました。
 県政全般に渡る内容ですが、その中で、私が担当して書いた「教育委員会」「県警本部」に関するものについてお知らせいたします。


<教育・スポーツ環境の充実について>

1. 学校における安全の確保について
 先月、愛知県知立市の市立中学で、校内に侵入してきた18歳の男に教諭が胸や背中などを刺され重傷を負うという事件が起こった。 幸いにして生徒は無事であったが、このような恐ろしい事件がいつどこで起こるか分からないのが実情である。
 通常の登校日だけでなく、夏季・冬季休暇中等においても、外部からの不審者の侵入を未然に防ぎ、事件事故防止に努めるよう、県内全学校に徹底した指導を行うこと。
 また、防犯カメラやセンサーといったいわゆる防犯システムの導入にあたり、市町の財政力の有無により市町間に格差が生じないように、県としての必要な支援策を整えること。

2. 情報モラル教育の徹底について
 インターネット上での個人的中傷、いじめなどが社会問題化している中、携帯サイト上のプロフに起因した事件も続発している。いわゆる有害サイトについては、国においてその定義や規制について大きな議論となったが、実効性のある対策が講じられていないのが現状である。
 子どもたちが自ら情報内容を適切に判断できる能力を身に付け、事件事故に巻き込まれないようにするために、学校において十分な指導を行うとともに、PTAや育成会等の団体の理解と協力を得ながら、家庭においても指導がなされるよう、取り組みを強化していくこと。

3. 県立高等学校等校舎の耐震化促進について
 県立高等学校の耐震改修状況について、全521棟のうち診断済187棟、未診断334棟となっている。また診断済187棟のうち補強工事未実施のものが64棟ある。
 「県立高等学校耐震補強基本方針」では、平成27年度までに耐震補強を行うとなっているが、生徒の安全確保の観点から、そして県立高校の多くが地域の指定避難場所になっているという実態から、早期に補強工事が100%完了できるように、耐震診断、耐震補強ともに計画を前倒しして取り組んでいくこと。
 同時に、公立小中学校の耐震補強について、県としての支援等を検討すること。

4. グリーンスタジアムの整備について
 Jリーグ加盟を目指す栃木SCは、現在JFL首位と大健闘している。当面のホームスタジアムとなる栃木県グリーンスタジアムをJリーグ加入基準に適合させるための整備について、遅れることなく実施していくこと。
 また、ホームタウンとなる宇都宮市との役割分担についても、必要十分な協議、交渉を行うこと。

5.教員が教育に専念できる環境づくりについて
 知育、徳育、体育など、学校が掲げる教育目標を実現していくには、教員が教育に専念できる環境をつくり、子どもと向き合う時間を確保していくことが求められている。
 しかし、現状は異なり、膨大な量の報告書類の作成や保護者への対応に追われるなど、教員が教育に専念できる環境にあるとは言えない。本県においては、精神性疾患による休職割合が全国平均を上回っているという数字もある。
 事務処理の簡素化など学校現場の実情を反映した改革を行い、且つ教育委員会から校長他管理職、そして教員という管理体制のあり方についても、「とちぎの教育推進委員会」等で議論を深めていくこと。

6.特別支援教育の充実について
 障がいを持つ子どもたちが、将来自律した生活を送れるような教育環境を整えていくことは極めて重要な課題であり、我々の責務であると考える。
 特に高等部においては、高い就職率を目標とする職業教育中心の学校が求められており、他県においては整備が進んでいる。
 我が県でも、いわゆる「高等特別支援学校」の早期開校を目指し、その整備に着手すること。


<警察力の充実・強化について>

1. 交通安全施設の整備促進について
 交通事故を減少させ、県民の尊い命を守っていくために、交通危険箇所への信号機の新規設置、老朽化した信号機の更新のほか、道路標識・標示の適切な設置や高輝度化に鋭意取り組んでいくこと。

2. 装備・機材の科学化、近代化の推進について
 犯罪が広域化、凶悪化する中で、身近な軽犯罪も後を絶たない。犯人の検挙と犯罪発生の抑止を進めていく上で必要となる装備や機材、システムの科学化、近代化は、積極的に推進していくこと。
 また、住民に身近な交番、駐在所における小型警ら車の配備については、今年度新たに10台の配備が実現したが、未配備72箇所についても今後計画的に進めていくこと。

3. 警察活動基盤の整備について
 警察官の活動の拠点となる警察署等の施設について、OA機器設置、人員増による狭隘化や老朽化が目立ってきている。耐震の観点からも、計画的な改修・整備を進めていくこと。


<その他>

行財政改革の一層の推進について
 県の財政状況を直視すると、あらゆる分野において行財政改革を加速させていかなくてはならない。今年度、企業局事業等在り方検討会が設置され、今後議論されることになるが、特に外郭団体や出資団体など全ての組織について、例えば経費削減目標を設定しそれに対する改革案を示させ、更にその案を検証した上で例外なく実行させるなど、積極的な取り組みが求められる。
 統合・廃止も含む組織の見直しと、人件費他の経費削減を徹底して行い、抜本的改革に着手すること。

 また、予算要望として、「とちぎの教育向上対策事業費」として300万円を要望しています。この内容は、(1)学力の向上に取り組んでいく上で、学校現場だけでなく家庭における支援や習慣づけがとても大事であることから、小中学生を対象にした学力向上啓発を行うためのパンフレット作成費(2)教員が子どもと向き合う時間を確保し教育に専念できる環境整備が求められているが、そのためには煩雑な事務を見直す必要があるという指摘から、その実態調査を行うための諸費用、としての予算要望です。
 知事からは来月8日に回答をいただける予定です。また、18日からは9月定例議会が開会される予定です。予算委員会も設置されましたので、問題意識を持って臨んでいきたいと思います。