政策提言・時事問題リポート

2007/11/28

児童虐待の現状について

社会福祉推進議員連盟で、県内に3カ所(県央・県北・県南)ある児童相談所のうち県央児童相談所を訪問し、受付相談の概況についてヒアリングしてきました。
数年前に小山市で発生してしまった虐待死事件を機に、各児童相談所の中に「児童虐待対応チーム」を設置し、児童相談所の職員さんは昼夜を問わず懸命に取り組んでいます。

児童相談所が行う相談業務には、養護相談、保健相談、障害相談、非行相談、育成相談とありますが、児童虐待については『養護相談』に該当します。この養護相談とは、具体的には「保護者の家出、失踪、死亡、入院、服役等による養育困難児、棄児、被虐待児などに関する相談」のことです。

児童虐待に関する相談件数は増加傾向にありますが、これは上記の事件以降、児童虐待に対する社会の目、関心が高まったことも一因のようです。参考までに、平成18年度の全相談件数4,465件のうち、「虐待」に関する相談は504件=11.3%、その他の理由による養護相談は316件=7.1%となっています。また、虐待者=虐待をしてしまう人は、実母が約60%強、続いて実父約20%、実父以外の父親7%という順になっています。

児童相談所の判断により、場合によっては児童相談所にて子どもを一時保護することになり、その後は、親を指導して家庭に戻す、児童養護施設に入所させる、里親に委託するといった方法がとられます。しかし、家庭に戻しても虐待が止まず再入所することになってしまうかわいそうな子どもも後を絶たないそうです。

欧米では里親制度がかなり普及をしているそうですが、日本ではあまり浸透はしていないのが実情です。特に、虐待を受けた子どもたちは心に深い傷を負っており、その心のケアは難しく、子どもによっては非行に走ってしまったり、里親に対し暴力を振るってしまうケースもあるそうです。このようなことも全て理解し、覚悟した上で里親として子どもを受け入れることができるかが大切なポイントとなり、児童相談所では登録いただいている里親の方々の経験などを勘案し、決定をしているとのことでした。

里親としての経験を持ち、かつ研修を受けることで子どもに対応する術を身につける専門里親の制度もありますが、里親まかせになりすぎはしないか、里親が孤立してしまはないか、といったことが心配です。
やはり、里親に対し継続して研修を行う、定期的に里親家庭を訪問し相談に乗るなどのサポート体制を確立していかなければいけないと思います。

この後、同じく宇都宮市内の児童養護施設を訪問しました。ちょうど集団下校の時間で、小学生たちが施設に帰ってきました。みんなきちんと「こんにちは」と挨拶してくれました。その礼儀正しさに感激しました。また、施設内にある小学校入学前の幼児園にも寄りましたが、目を輝かせ笑顔で手を振ってくれる子もいました。

同僚の五十嵐議員が、施設の子どもたちが通っている学校において、各子どもたちの境遇や個性を理解した上で対応能力を備えた教員に担任してもらうなど、学校との協力体制はとられているのか、という質問をしました。まさにその通りで、集団生活をする学校でのサポート体制は不可欠だと思います。

この子どもたちが安心して安全に、そして健やかに成長していける環境を確保していくために、私たちに何ができるのか、何をすべきなのか、地域社会、教育現場も含めて幅広く連携した取り組みを実施できるように、努めていきたいと思います。