2007/07/30
参議院議員選挙の結果を受けて
参議院議員選挙が終わりました。マスコミが予想した(期待した?)とおり、与党・自民党の大敗となりました。
参議院といえば、アメリカにおける上院・下院の上院に当たり、「良識の府」「再考の府」と呼ばれています。衆議院と比較すると与えられている権限は限られていますが、衆議院の決めたことに行きすぎがないかをチェックしたり、衆議院の足らない点を補うことが求められています。極めて重要な役割を担っていることは間違いありません。
東京都選挙区だったでしょうか、「庶民らしさをアピールするため」に、緑色のスーツ+たすきを掛けて、テレビカメラを従えて、スーパーで買い物をする女性候補の姿が報道されました。見た人の中には、「参議院議員候補なのに…」と感じた方も少なくなかったようです。
しかし、振り返ってみると、候補者同士の比較も行われず、「年金」が消えたか消えていないかといったことばかりに終始してしまった、極めて内容の薄い選挙となってしまいました。大事な国政選挙なのにとても残念に思います。
つまり、年金以外にも重要な問題は山積しているのに、大きな議論もなされず、これから6年間解散なく国政を担う議員が決まってしまったのです。
年金問題においても、年金制度をどう維持するかといった根本よりも技術論ばかりでしたし、そもそも、地域における医療危機、食の安全、少子化対策、教育問題など、生活に密着する重要なテーマはたくさんあります。視野を広げれば、環境保全や国際平和の維持に対しどのように貢献していくか、北朝鮮や中国といった隣国の脅威にどう対処していくか、など我々国民に問題提起し、それに対する考えを示さなくてはいけないし、マスコミもそれを積極的かつ正確に伝えなければいけなかったのではないかと感じています。
これまでの安倍内閣は「官僚主導の政治を国民に取り戻す」という大きなテーマを掲げ、公務員制度改革法や社会保険庁改革関連法の成立のほか、教育基本法の改正、海洋基本法の成立を実現しました。また中国残留日本人孤児の国家賠償訴訟や薬害肝炎訴訟で和解に向けた取り組みなど、形としても実績をあげてきていると思います。
繰り返しになりますが、年金問題の元凶となった社会保険庁についても、与党案は「これ以上ずさんな運営を許さない、組織を存続させずに解体・分割する。職員についてもいったん解雇しヤル気のある人材だけを非公務員として再雇用する」ということですから、野党の言う「社会保険庁は解体せずに国税庁と合併させる。職員は公務員の身分のまま全員を残す」という案よりも実効力があると思っています。
一方で、安倍内閣においてあまりにも次々と無様な問題が出過ぎました。国民の不信を招いて当然であると思います。ここまでくると任命責任を問われても仕方ありません。
地方では、自治体も議会も、少子高齢・人口減少社会を迎える厳しい環境の中、地方主権時代を目指し、真に自立した魅力ある地域を創っていこう、ムダのない行政運営をしていこうと努力しています。中央においてはこのような姿が見えてこないと感じている人は多いと思います。
いろいろな意味で注目を集めた今回の選挙、当選された議員がこれから6年間どのような活動をしていくのかも注目されていくことと思います。
最後に、衆議院議員選挙のように「選挙区で落選し比例で復活当選」というのがない点は分かりやすいですが、やはり参議院議員における比例代表というのも難解な制度です。衆・参ともに定数の削減を含め改革の余地があるのではないでしょうか。