政策提言・時事問題リポート

2007/06/04

社会保険庁の問題について~その2~

そもそも、これらのことが判明したきっかけを、先日国会議員の先生から聞きました。
先に申し上げたとおり、約3年前に社会保険庁を解体し「非公務員化」して民間組織へ、と決めました。このことに反発する社会保険庁が、自らの身分や待遇、既得権益を守るために、「未だ5千万口も未確認があるのだから、社会保険庁を解体しないで今のまま残せ、民営化するな」として民主党に応援を申し出たことで、この「5千万口」が発覚したそうです。
自らの怠慢や不正を指摘されたことへの反発、解体・民営化されることへの抵抗から、野党民主党に実態を伝え、守ってもらう。ここまでひどいとは、正直言って驚きました。

さらには、この社会保険庁には、民間ではありえない労働慣行があるそうです。いくつかを示しますと、
・ オンライン化に伴い定員削減はしない
・ ノルマや実績表は作らない
・ 昼休みの窓口対応は必要最小限に
・ 基礎年金番号通知時の照会への対応は各事務所電話2台、期間2ヶ月のみ
・ パソコン導入は労働強化、労務管理につながらないものとする
・ 45分働いたら15分休憩(4分の1は休憩時間)
などです。つまりはいかに仕事をしないで楽をするか、ですね。これらの覚書・確認事項は102件もあるそうです。
これら常識では考えられない労働慣行を当局に認めさせた社会保険庁の労働組合=自治労・国費評議会というのは、民主党の最大の支持母体だそうです。

今後の取り組みですが、
① 基礎年金番号への統合が済んでいない年金記録5千万口を今後1年間で完了させる
② 年金の未払いが判明した場合には、「過去5年分しか受け取れない」という現行の法律を改正し、何年でもさかのぼって受け取れるようにする
③ 過去の保険料の領収書などの証明書等がない場合でも、銀行通帳の記録や元雇用主の証言等を根拠として第3者委員会で判断してもらうこととしています。

国会の厚生労働委員会で、3年前同様に、野党議員が委員長を羽交い絞めにし委員長席から引きずり下ろす光景が報道されました。さらにはその委員長に向かってバイバイと手を振る愚かな女性の議員の姿もありました。あまりの愚かさに憤りすら覚えます。愚かすぎます。国会議員の自覚も誇りもありません。
示されたこれら今後の取り組みに対し、どの点に反対し、どのようにしたらいいと考えるのかを明確にすべきで、ただ何でも反対というのでは困ります。

繰り返しになりますが、これからの少子高齢社会を支えていく極めて重要な年金制度です。年金をきちんと納めてきた人がきちんと受け取れること、社会保険庁の職員の怠慢や不正による無駄遣いを根絶し新たな体制を築くこと、これらのことを当然ながら進めていかなくてはなりません。
与党だ野党だと政争の具にすべき問題ではありません。良いものは良いものとして賛成し、良識ある判断をしていただくよう願います。