政策提言・時事問題リポート

2007/06/04

社会保険庁の問題について~その1~

国において、またまた社会保険庁が混乱の原因となっています。
今から3年前、参議院議員の国井正幸先生が「厚生労働委員長」の当時のことです。社会保険庁が、私たちが納めている大切な「年金」を勝手に流用し、職員の宿舎を建設したり、車を買ったり、慶弔費に使ったりと、常識では考えられないような事実が判明し、大きな問題となりました。

そこで、社会保険庁のあり方を見直し、「解体」すべきだという方向性が示されました。
政府与党を非難する声もありましたが、当時の小泉総理がこれら不正を指示したわけではなく、それまで隠し続けられてきた実態を、小泉改革を進めていく中で暴くことができた、と評価する声も強かったことも事実です。

そして今度は、年金を支払ってきたのに受給できない、という事件が起きています。少子高齢社会が進行する中で、重要性が増す年金制度への信頼をまたしても損ねてしまいました。

少し詳しく申し上げますと、約10年前に基礎年金番号が導入され、年金記録を1人1口とする作業に入りました。この導入以前には、転職や転居、結婚などにより1人が数口の年金記録を保有しているケースもあり、人口の3倍もの約3億口の年金記録が存在していました。この3億口の年金記録のうち、約1億口は基礎年金番号が付されました。残りの2億口のうち約1億5千万口を基礎年金番号に名寄せしました。そして残りの5千万口の年金記録は「未確認」つまり基礎年金番号への統合が済んでいない、ということです。マスコミが報道するように「消えた」わけではありません。

国民の信頼の上に成り立つ、相互扶助の精神に基づいた制度であるのですから、誤解を招き不安をあおるような報道は控えてもらいたいものです。
基礎年金番号の導入から10年も経過して、未だ「年金記録約5千万口が未確認」というのは明らかな職員の怠慢ではないでしょうか。