2006/12/22
地方交付税の在り方について
初めに、地方交付税について、片山鳥取県知事の論文を参考にお話します。
地方交付税とは、所得税、法人税などの国税について、その収入のうち一定割合をプールし、所定の計算ルールに則り地方自治体に配分する仕組みのことです。
本来はそれぞれの自治体の財政は自前で調達する地方税によってまかなわれることが原則です。しかし、現状では、地域による経済力の格差が大きいため、東京都のように潤沢な税収を得られる自治体がある一方で、乏しい税収しか確保することができない自治体も存在します。参考までに2004年の数字ですが、地方税収入がトップの東京都は5兆6千億円、最下位の鳥取県は1200億円と、約47倍の差があることになります。そうなると、行政サービスの点で地域間でのコストが大きく異なることにもなってしまいます。
よって、全ての自治体がその必要とする財源を地方税でまかなうこととはせず、地方税による財源確保はある程度までとし、残りの部分は一定の税収を国税として徴収したうえでこれを自治体に配分する仕組みとしたものが地方交付税制度ということです。
ですから、地方交付税とは、国庫補助金や国庫負担金など他の国庫支出金とは明らかに異なり、いわば地方自治体の共有財源として、そして地方税の代替物として配分される財源であるということであります。
福田富一知事の言葉にもあったように、交付税改革が論じられる中で、とにかく総額だけ削減しようとする国、財務省の主張は納得できるものではありません。
バブル崩壊後に政府が実施した大規模な景気対策では、地方債の償還財源として後年度の交付税が上乗せして補填されるとした仕組みが実施され、市町村合併を促進するために政府が用意した合併特例債の償還にも交付税が上乗せされる仕組みが取り入れられています。これらのことには、政府による交付税の食い散らかしだ、などという批判が強く上がっているのも事実です。
全国知事会、全国市長会をはじめとする地方6団体は、現行の地方交付税を地方共有税に改めるよう主張しているとのことです。交付税はそもそも地方自治体の共有財源であり、地方税の代替物です。政府がその使途を制約したり、誘導したり、査定によって削減したりすることのできない性質のものであるとの認識です。それぞれの地方自治体が、自主的に、そして計画的に財政運営を行っていくうえで、有効で安定したシステムであるべきものとしていただきたいと思います。