政策提言・時事問題リポート

2006/09/14

栃木県を訪れる人を増やしていくために

私は以前から、定住人口の増加とともに、交流人口の増加につながる施策を積極的に推進していくべきと考え、県議会の一般質問でも取り上げてきました。豊かな里地里山を活かした交流拠点整備の推進や、コンベンションビューローの確立による各種大会・会議の誘致などがその1例です。

今年度委員長を務めています県議会の経済企業常任委員会で、山口県下関市を訪問してきました。ここでは栃木県が今年度からスタートした「とちぎフィルムコミッション」事業を先進的に取り組んでいます。
フィルムコミッションとは、映画やドラマなどの撮影場所としての誘致を進めるもので、ロケ隊の宿泊・消費活動や放映後の観光客増加といった経済効果やイメージアップ、また地元住民の郷土意識の醸成などにもつながるものと期待されています。具体的には、ドラマ「北の国から」で有名になった富良野などは顕著な例です。

下関市フィルムコミッションで注目したのは、先ずその構成団体です。常任委員に地元自治体、会議所、観光コンベンション協会、旅館組合、飲食店協会etc.などが参画しているほかに、協力会員として、賛同する民間企業、個人が多数参加しているそうです。

更に感心したのはその運営方針です。具体的にいくつか挙げますと、ロケに当たり相互の補完・信頼関係を大切にしています。行政担当者は制作会社に対し営業活動をするわけですが、実績のある先には最低でも年1回は顔つなぎを怠らず、加えて新規リストアップ&訪問セールスを実行しています。そして何よりも、会議経費の予算計上はなく、会場費から全ての経費を会員が自腹で拠出しているということです。完成後に地元での上映会の開催しましたが、開催費用、出演者を招く費用も全て寄付によるとのことでした。

地域によって資源が異なりますし、一概に比較はできませんが、このような地元住民と企業によるあたたかい理解と支援があって成り立っており、この点ではどの自治体でも同じく実現可能性があるわけです。足利市にも地元意識の高い、企業としての地域貢献に取り組まれている企業が多数あります。栃木県でも、このような先進事例をきちんと検証しながら、優れているところは取り入れて、フィルムコミッション事業を成功させていきたいと思っています。

また、冒頭にコンベンションビューローの必要性を主張してきたと書きましたが、栃木県でも今後多くの大規模な大会が予定されています。特に近いところでは、今年11月には茂木町をメイン会場として第17回熱気球世界選手権が開催されます。栃木県では初の開催であり、過去に佐賀県で開催されたときには38ケ国から2,000人の関係者が参加、107万人の観客が集まりました。今回は紅葉の時期であることからも、この大会を通じて、県内観光地への誘客などの経済効果も大いに期待できることと思います。栃木県が国内はもとより世界各国から注目されるチャンスでもあることからも、この大会を契機として誘客活動に積極的に取り組むべきだと考えます。

県が主催してお金をかけて人を集めなくても、このように民間の団体が栃木県内で開催してくださる大会は数多くあります。県としては適切な情報提供と支援を進め、合わせて今後も大会の誘致活動に全力で取り組むべきであります。このような絶好のチャンスを逃さず、1歩も2歩も前進した交流人口の増加策を進めていきたいと思います。