2006/03/19
安全で安心な町づくりのために
以前もここで治安問題について申し上げました。改めて感じていることを書きます。
近年、治安の悪化が叫ばれています。事件の凶悪化・低年齢化という傾向だけでなく、他方では空き巣・車上荒らし・ひったくり・自転車泥棒などといった身近な軽犯罪も大きく増加してきています。
実際に、全国のアンケートでも、90%の人が「治安が悪化していると感じている」と答えています。
このような犯罪の増加に反比例するように、検挙率は低下してきています。1985年当時には検挙率60%を誇り、「世界で一番安全な国」と言われていましたが、2000年を過ぎてからは20%にまで低下してしまいました。この数字は、世界的に見ても、アメリカやスェーデンと並んで最低のところにあります。
このような現状に歯止めをかけるために、日本では、2002年からの6年間で2万人増員したいという目標を定め、警察官の増員に取り組んでいます。
同様に栃木県でも毎年のように、国に対して警察官の増員を要望しています。結果、来年度(平成18年度)にも90人の増員が実現することになりました。大変ありがたいことだと感じています。
しかし、90人増員しても、警察官1人が担当する人口は623人であり、全国平均の521人を大きく下回ります。つまりはまだまだ警察官の数が足りないということです。
しかも、この警察官1人が担当する人数が500人という数字自体が、世界の先進国と比べると決して十分なものではないのです。イタリア・フランスは人口300人に対し警察官1人、イギリス・アメリカ・ドイツでも人口400人に対し警察官1人です。ですから、全国的に見ても、今後も警察官の増員はとても重要な課題であると考えます。
私が暮らしている町を考えても、制服を着た警察官が街中をパトロールしてくれることが、犯罪を抑止するのに最も効果的なことであると思います。その間に交番に誰もいなくなってしまう、ということがないように、いわゆる「空き交番対策」として、警察官OBを活用した「交番相談員」制度も積極的に進めています。これからも警察官ならびに交番相談員の増員に努力してまいります。
現実的には、人件費という財政的な面から厳しいところもあり、どうしてもすぐに対処できることではないという側面も持っています。やはり、地域の方々の協力がどうしても必要になってきます。今市市では、あの痛ましい事件以降、安全パトロール等のボランティアをします、という人の数が急増したといいます。散歩をする時間帯を下校時刻に合わせてくれる、散歩をするコースを下校路や子どもが遊ぶ公園を回るようにしてくれるなど、どんな小さなことでも結構です。皆様のご協力をお願い申し上げます。
また、防犯灯の設置や見通しのよい通学路の整備など、ハード面での各種施策についても、合わせて推進できるよう働きかけて参ります。
子どもからお年寄りまで安心して安全に暮らせる地域づくりについて、みんなで知恵を出し合い、協力して取り組める体制の整備に向けて、あらゆる機会を通じて取り組みます。